「東京裁判史観(自虐史観)を廃して本来の日本を取り戻そう!」
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現します。
( 心が臨界質量を超えるとは → http://tinyurl.com/5kr6f )
( 東京裁判史観とは → http://tinyurl.com/kkdd29p )
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《 いま注目の論点 》
★「後門の狼」説得する米貿易戦士――湯浅博・東京特派員
【「湯浅博の世界読解」産経新聞 H31.03.13 】http://tinyurl.com/y6xqlj9w
★国家存続への一歩――櫻井よしこ
【「美しき勁(つよ)き国へ」産経新聞 H31.03.11 】http://tinyurl.com/yyce2zbn
★「歴史」に堪えられる報道とは――門田隆将・作家/ジャーナリスト
【「新聞に喝!」産経新聞 H31(2019).03.10 】http://tinyurl.com/y6mubg3p
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社会主義経済という人類の愚行――古田博司・筑波大楽大学院教授
【「正論」産経新聞 H31.03.14 】
◆フェイクに満ちていた生産活動
1991年11月22日付の『労働新聞』を読んでいた私(当時38歳)は、北朝鮮で新しい生産運動が始まったことを知った。こうして研究者は一部同業者以外、誰も関心のない論文を書くことになる。それはむなしい過程なのだが、自己の分野を知見で徹底的に埋めていくことは、将来のために重要なことである。
その生産運動というのが実にくだらない。もとは商業部門だった鄭春実(チョンチュンシル)が、50万トンの蚕を生産、1万5千匹のビーバーと300匹の黒銀ぎつねを育て、500トンの山菜を採取し、労働英雄として表彰された、という。まず数字は誇張されているので無視する。以後、北全土に「鄭春実運動先駆者大会」が拡大していった。
その頃書いた論文には「該当者は商業部門など、流通の停滞で閑職に追い込まれた幹部がほとんどで、旅館・食堂・商店の閑職が加わっていた。この運動は、仕事のない者、なくなった者を生産や採取に駆り立てるものだった」とあるだけである。実は書いている本人が、北で何のために党がこのようなことをしているのか、正直分かっていなかったのだ。
普通、社会主義経済に関心のある研究者は工業化や軍事化ばかり研究する。工場や農場からの上納金は、これらの部門に集中投下されるからである。だが党機関紙は、くだらない生産運動、「働かない者を働かせる運動」で満ちている。重工業や軍事は秘密なので出てこない。発電所の記事は出てくるので、電力からそれを類推する論文は書いたことがある。
その後2009年、ルーマニア生まれのドイツ人作家ヘルタ・ミュラーが『狙われたキツネ』でチャウシェスク政権下のルーマニア経済社会を描き、ノーベル賞を取った。その邦訳を読むと直観が電光のように到来した。ここから分野を埋め尽くしていた知見への逆算が始まる。「社会主義経済とはフェイクであり、向こう側の経済学的根拠をもたない。ゆえに社会主義経済論は永遠に生まれない」。これが私の結論だった。
◆需要も供給も分からない
社会主義経済とは、19世紀の遅れたマルクス経済学を20世紀の経済に応用したものである。その結果、マーシャル以後の需要・供給の経済学を知らないものだから、ウリは作りすぎて農場の片隅に積まれて腐臭を放ち、鉄鋼は工場の中庭で赤サビの塊と化した。そもそも需要・供給を知らずに計画経済なんかできるわけがない。統計局は、工場や農場から上がって来るどんぶり勘定の計画書にバンバン判を押した。ホラ吹きの中国ではこの水増しが特にひどかった。
マルクス経済学は「労働価値説」である。生産労働は価値を生むが、流通は価値を生まないとする。それで社会主義国では流通がほとんど無視された。運送がダメだから食料は配給制になりソ連では長い行列ができた。中国の都市では糧票(リャンピャオ)が配布された。北朝鮮ではトラックがないので労働新聞を列車で運んで駅でおろした。ここに鄭春実運動がつながる。翌月にソ連が崩壊した。ソ連からの援助が先細り、北朝鮮では閑職だった流通部門の者を山に駆り立てて、狩猟・採取経済をさせたのである。これは古代経済であろう。
社会主義経済とは「古代経済のマルクス経済化」ではなかったか。作りすぎた消費財は闇市に回り、足りなくなった生産財は専門職がトラックで運んで埋めた。これをソ連ではトルカーチといい、北朝鮮では資材商社という。悲しいまでにくだらない。
◆文系教授の多くは冷戦の敗残兵
もっとも古代経済らしかったのは、共同農場(中国は人民公社、北朝鮮は共同農場)であった。もともとはソ連のプレオブラジェンスキーが「社会主義的剰余価値の生産」と言ったものを、スターリンが実践した。1929年末からソ連では全土に広まる。国家が農民を直接採取する機構である。そこには古代らしく専制支配・身分制(地主出身・貧農出身云々(うんぬん))が色濃く残り、農民は疲弊した。
今日、社会主義経済は全部崩壊した。工業・軍事の部門は、核・ミサイルや宇宙開発に突出して残った。北朝鮮などはもう飛ばせる航空機がない。だから金正恩はハノイまで列車の旅をした。また中国に飛行機を借りるか、そんな屈辱はもうたくさんだろう。
冷戦期、日本の文系の大学教授のほとんどが社会主義とマルクスが好きだった。彼らはヘーゲル・マルクスの進歩史観というフェイクで未来を先見した。そして資本主義陣営の政治や経済の実務家たちと時代を二分した。ソ連崩壊後も20年間、彼らは好きなものを手放さなかった。結局、何の役にも立たないものとして批判され、2015年からは大学文系改廃へと追い込まれていくのである。彼らは冷戦の敗残兵だ。
彼らは冒頭にきまって、著名な西洋人の理念や理論を持ってきて論文を書いたものだ。だがそんなものにはもう普遍性はないのだ。その間、私はくだらない論文をたくさん書いて時を埋めた。
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現します。
( 心が臨界質量を超えるとは → http://tinyurl.com/5kr6f )
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《 いま注目の論点 》
★「後門の狼」説得する米貿易戦士――湯浅博・東京特派員
【「湯浅博の世界読解」産経新聞 H31.03.13 】http://tinyurl.com/y6xqlj9w
★国家存続への一歩――櫻井よしこ
【「美しき勁(つよ)き国へ」産経新聞 H31.03.11 】http://tinyurl.com/yyce2zbn
★「歴史」に堪えられる報道とは――門田隆将・作家/ジャーナリスト
【「新聞に喝!」産経新聞 H31(2019).03.10 】http://tinyurl.com/y6mubg3p
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社会主義経済という人類の愚行――古田博司・筑波大楽大学院教授
【「正論」産経新聞 H31.03.14 】
◆フェイクに満ちていた生産活動
1991年11月22日付の『労働新聞』を読んでいた私(当時38歳)は、北朝鮮で新しい生産運動が始まったことを知った。こうして研究者は一部同業者以外、誰も関心のない論文を書くことになる。それはむなしい過程なのだが、自己の分野を知見で徹底的に埋めていくことは、将来のために重要なことである。
その生産運動というのが実にくだらない。もとは商業部門だった鄭春実(チョンチュンシル)が、50万トンの蚕を生産、1万5千匹のビーバーと300匹の黒銀ぎつねを育て、500トンの山菜を採取し、労働英雄として表彰された、という。まず数字は誇張されているので無視する。以後、北全土に「鄭春実運動先駆者大会」が拡大していった。
その頃書いた論文には「該当者は商業部門など、流通の停滞で閑職に追い込まれた幹部がほとんどで、旅館・食堂・商店の閑職が加わっていた。この運動は、仕事のない者、なくなった者を生産や採取に駆り立てるものだった」とあるだけである。実は書いている本人が、北で何のために党がこのようなことをしているのか、正直分かっていなかったのだ。
普通、社会主義経済に関心のある研究者は工業化や軍事化ばかり研究する。工場や農場からの上納金は、これらの部門に集中投下されるからである。だが党機関紙は、くだらない生産運動、「働かない者を働かせる運動」で満ちている。重工業や軍事は秘密なので出てこない。発電所の記事は出てくるので、電力からそれを類推する論文は書いたことがある。
その後2009年、ルーマニア生まれのドイツ人作家ヘルタ・ミュラーが『狙われたキツネ』でチャウシェスク政権下のルーマニア経済社会を描き、ノーベル賞を取った。その邦訳を読むと直観が電光のように到来した。ここから分野を埋め尽くしていた知見への逆算が始まる。「社会主義経済とはフェイクであり、向こう側の経済学的根拠をもたない。ゆえに社会主義経済論は永遠に生まれない」。これが私の結論だった。
◆需要も供給も分からない
社会主義経済とは、19世紀の遅れたマルクス経済学を20世紀の経済に応用したものである。その結果、マーシャル以後の需要・供給の経済学を知らないものだから、ウリは作りすぎて農場の片隅に積まれて腐臭を放ち、鉄鋼は工場の中庭で赤サビの塊と化した。そもそも需要・供給を知らずに計画経済なんかできるわけがない。統計局は、工場や農場から上がって来るどんぶり勘定の計画書にバンバン判を押した。ホラ吹きの中国ではこの水増しが特にひどかった。
マルクス経済学は「労働価値説」である。生産労働は価値を生むが、流通は価値を生まないとする。それで社会主義国では流通がほとんど無視された。運送がダメだから食料は配給制になりソ連では長い行列ができた。中国の都市では糧票(リャンピャオ)が配布された。北朝鮮ではトラックがないので労働新聞を列車で運んで駅でおろした。ここに鄭春実運動がつながる。翌月にソ連が崩壊した。ソ連からの援助が先細り、北朝鮮では閑職だった流通部門の者を山に駆り立てて、狩猟・採取経済をさせたのである。これは古代経済であろう。
社会主義経済とは「古代経済のマルクス経済化」ではなかったか。作りすぎた消費財は闇市に回り、足りなくなった生産財は専門職がトラックで運んで埋めた。これをソ連ではトルカーチといい、北朝鮮では資材商社という。悲しいまでにくだらない。
◆文系教授の多くは冷戦の敗残兵
もっとも古代経済らしかったのは、共同農場(中国は人民公社、北朝鮮は共同農場)であった。もともとはソ連のプレオブラジェンスキーが「社会主義的剰余価値の生産」と言ったものを、スターリンが実践した。1929年末からソ連では全土に広まる。国家が農民を直接採取する機構である。そこには古代らしく専制支配・身分制(地主出身・貧農出身云々(うんぬん))が色濃く残り、農民は疲弊した。
今日、社会主義経済は全部崩壊した。工業・軍事の部門は、核・ミサイルや宇宙開発に突出して残った。北朝鮮などはもう飛ばせる航空機がない。だから金正恩はハノイまで列車の旅をした。また中国に飛行機を借りるか、そんな屈辱はもうたくさんだろう。
冷戦期、日本の文系の大学教授のほとんどが社会主義とマルクスが好きだった。彼らはヘーゲル・マルクスの進歩史観というフェイクで未来を先見した。そして資本主義陣営の政治や経済の実務家たちと時代を二分した。ソ連崩壊後も20年間、彼らは好きなものを手放さなかった。結局、何の役にも立たないものとして批判され、2015年からは大学文系改廃へと追い込まれていくのである。彼らは冷戦の敗残兵だ。
彼らは冒頭にきまって、著名な西洋人の理念や理論を持ってきて論文を書いたものだ。だがそんなものにはもう普遍性はないのだ。その間、私はくだらない論文をたくさん書いて時を埋めた。