電脳筆写『 心超臨界 』

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( ルイ・パスツール )

朝鮮半島有事に日本は無関係か――江崎道朗さん

2020-07-09 | 04-歴史・文化・社会
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朝鮮半島有事に日本は無関係か――江崎道朗・評論家
【「正論」産経新聞 R02(2020).07.09 】

◆朝鮮戦争に「関与」せず?

今年は、朝鮮戦争勃発から70年に当たる。自衛隊創設の契機となったこの朝鮮戦争に、占領下の日本は深く関与していた。

日本共産党の吉岡吉典参議院議員が昭和62年2月21日付で「朝鮮戦争への日本人のかかわりに関する質問主意書」を提出し、政府にこう質問している。

《朝鮮戦争では、日本は、朝鮮出撃の基地となつたほか、多数の日本人が直接戦場に派遣させられ直接戦争に協力させられて、すくなからぬ犠牲者も出ている。

しかるにその実態はいままであきらかになつていない。そこで、朝鮮戦争のさい、「国連軍」協力のため、日本から朝鮮戦争に派遣された日本人の実態について以下質問する》

こう前置きしたうえで吉岡議員は、朝鮮戦争に日本がどのように関与したのか、政府の見解を問いただした。当時の中曽根康弘政権は昭和62年4月10日にその答弁書を閣議決定している。

まず掃海部隊の派遣についてだ。日本は朝鮮戦争当時、現行憲法があるにもかかわらず、旧海軍の掃海部隊を派遣し、死者まで出している。吉岡議員はこの問題について『海上保安庁30年史』などを踏まえ、海上保安庁所属の旧海軍掃海部隊1200名が機雷掃海のため参戦したが、《正確には何隻、何人がどういう形で参戦したのか》と質問したところ、中曽根政権はこう答えた。

《御指摘の件については、御指摘の刊行物及びその他の刊行物に種々の記述がなされているところであり、また、かつて、国会において議論がなされたところでもあるが、今日においては、正確に事実関係を示すことは困難である》

死者まで出しながら、実に素(そ)っ気(け)ない答弁だ。

◆当時の日本の後方支援は

次に吉岡議員は、国連軍(米軍)に対する日本の後方支援について《調達庁が昭和31年に発行した『占領軍調達史』によると、朝鮮作戦向け兵器弾薬等軍需品その他の積載、輸送、警備、附帯事務等の兵站補給作業に従事したものも相当数にのぼつたと推定され》、《昭和26年1月までのあいだにこれらの労働者のなかから381名の死傷者、つまり戦死者、戦傷者がでている》が、《政府としてこれを確認できるか》と質問したところ、中曽根政権はこう答えた。

《「占領軍調達史」に御指摘の内容の記述があることは承知しているが、今日においては、それ以上にその事実関係を確認することは困難である》

朝鮮戦争当時、日本は国連軍に対して看護婦も派遣している。吉岡議員はこう質問している。

《昭和26年9月26日の日赤第56回通常総会で島津忠承社長は「25年から始まつた朝鮮事変にたいして、日赤看護婦の派遣要求があつたので本社はこれに全面的に協力し、九州地方の各支部から第一次54人、第二次25人、第三次17人を交替派遣し、現在63人が国連軍病院に勤務したしております」と演説している。日赤看護婦韓国派遣の実態(派遣期間、人数など)と地位をあきらかにされたい。またその被害の状況もあきらかにされたい》

これに対して中曽根政権は《日本赤十字社の看護婦が韓国へ派遣されたという事実は、確認し得ない》と答えている。

吉岡議員はまた朝鮮戦争当時、国連軍の出撃拠点として使用された日本の基地について《朝鮮戦争中に国連軍の名の米軍によつて朝鮮への出撃基地として使用された日本の基地のリストをあきらかにされたい》と質問したが、《御質問の事項については、承知してない》との回答であった。

◆目を背けず準備と対応を

素っ気ない答弁からも分かるように政府は、朝鮮戦争において日本が一定の役割を担い、死傷者まで出したことを「無かったこと」にしておきたいようだ。しかし、吉岡議員が指摘した掃海、後方支援、看護婦の派遣といった事項は将来、朝鮮半島有事に際して日本として対処しなければならないことだ。1954年6月に締結した「国連軍地位協定」でも日本政府は、朝鮮有事の際の国連軍への「十分な兵站上の援助」を約束している。

貴重な先例を踏まえて事前に十分な準備をしていればこそ、いざというとき適切な対応をとることができる。にもかかわらず極めて重要な歴史を「無かったこと」にして、その準備の必要性も訴えていない政府の姿勢は極めて問題だ。政府がこうした「歴史」の隠蔽をしているから日本人の大半は朝鮮半島で紛争が起こっても日本は無関係でいられると誤解してしまっているのだ。

情報公開こそ民主主義の基本だ。政府は朝鮮戦争に日本が深く関与し、死者まで出したことについてその記録を収集・公開することで、将来予見される朝鮮半島有事に際して、拉致被害者の救出を含め日本がいかに関わるのか、国民的な論議を促してもらいたい。
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