2020年4月に完全施行となる改正健康増進法では、原則屋内禁煙が義務付けられ、これまでよりさらにたばこを吸える場所が限定されるようになる。そこで注目されているのが、たばこ葉をくるんだポーションを口に含んでニコチンを補給するタイプの「無煙たばこ(嗅ぎたばこ)」である。燃やさないので煙も出ず、加熱もしないのでニオイも出さないのが特徴だが、日本ではまだ使用している人は少ない。今回紹介するのは、JTが展開している無煙たばこ「ゼロスタイル・スヌース」の新味「抹茶ラテ」「梅」の2製品である。
※ご利用にあたっては、健康リスクなどをご考慮のうえ、注意・マナーを守ってご使用ください。
写真左が「ゼロスタイル・スヌース・抹茶ラテ」(以下、抹茶ラテ)、右が「ゼロスタイル・スヌース・梅」(以下、梅)。どちらも20個入りで500円(税込)
<関連記事>
煙どころか蒸気も出ないタバコ「スヌース」(無煙タバコ、嗅ぎタバコ)って何だ?
より健康リスクが低減されたBATの無煙タバコ「VELO(ベロ)」が日本上陸
小袋にたばこ葉を詰め込んだもの(ポーション)を、歯茎と頬の間に挟んで、口内粘膜からニコチンを吸収するたばこ製品が嗅ぎたばこだ。鼻腔内に粉砕たばこ葉を塗るタイプもあるが、見た目が非常に怪しいので、口内に入れるタイプのほうが、まだポピュラーである。
抹茶ラテが抹茶色のポーションなのは納得したが、梅も抹茶色だった
中を見ると、どちらも抹茶色の粉末が入っていた
噛まずに口に入れておく
嗅ぎたばこの歴史は古く、フランスで鼻吸引タイプが流行した後の15世紀後半に、フィンランドから口内に入れるタイプが流行したのが始まりだ。米国、スウェーデン、ノルウェーなどの北欧では比較的定番のたばこ製品である。
また、よく似たものに「噛みたばこ」というものもあるが、それは石灰や甘味料で固めたたばこ葉を口に含んで歯で噛み、唾液は飲み込まずにペッと吐き出すもの。荒野ならともかく、あちこちに唾を吐くという行為がつきものなので、現代社会には向いておらず、近年使用する人はまれだ。
「ゼロスタイル・スヌース」は嗅ぎたばこの本場、スウェーデン製だ
嗅ぎたばこは北欧や米国からの輸入品として販売されているものもあるが、たいていの場合刺激が強く、痛く感じることもある。欧米人に比べて口内粘膜が弱い日本人には、向いてない製品が多いのだ。
そこで、JTが2013年に、口内環境がデリケートな日本人向けに強すぎない刺激を特徴に誕生させたのが「ゼロスタイル・スヌース」である。現在はレギュラータイプのほかにメンソールやバニラ、アップルミントなど、黒く平たい缶で展開しているが、ここに来てイメージを一新させる白缶で登場させたのが、和風コンセプトの「ゼロスタイル・スヌース・抹茶ラテ/梅」である。それでは実際に使用してみたい。
「抹茶ラテ」「梅」は、今までの黒缶から一気にイメチェンしたホワイトベースのパッケージ。従来製品と合わせると8種類のフレーバーがある
従来製品は、白っぽい袋に茶色いたばこ葉という見た目
抹茶色のポーションを1袋つまむと、ほんのりとした抹茶の香りが漂う。嗅ぎたばこという欧米文化に和テイストというのはどうかと思ったが、口に入れるものなので、日本人的に抹茶は非常に自然だ。ただ、ラテかと言われると、あまりはっきりしない。
それを歯茎と頬の間に挟む。場所はどこでもよいが、それなりに刺激があるので、なるべく腫れたりしていない健康的な場所を選んで挟み込む。挟んだあとに舌で移動させても問題ない。
ポーション1袋に1.9mgのニコチンを含んでいるが、吸収できるニコチン摂取量は0.8mgほどになるという。たとえるなら「メビウス」レベルか
ガムでも口に入れるような見た目で、さりげなくニコチン補給できる
抹茶の香りをふんわりと感じながら入れておくとすぐに、歯茎がピリピリと刺激される。刺激に関しては、歯茎が健康な人ならほどよい刺激なのだが、歯周病などを持っている人には強すぎると感じる場合もあるかもしれない。
ポーションを挟んでいると、1分もしないうちにピリピリした刺激が次第にジンジンとした感覚に変わる。これがニコチン吸収感だ。さながら歯茎に湿布を貼っているような感じである。
基本的には15〜30分で吐き出し、捨てる。これでおよそたばこを1本吸った程度のニコチンを吸収できたことになる。感覚としてはたばこ一服後のじんわり感が一応あるし、ニコチン欲求は落ち着くので、長丁場の会議などでは非常に便利だと思う。
味も抹茶に含まれるカテキンのせいか、レギュラータイプなどでは少々いやな味に感じてしまう味残りもない。気持ち、口の中がさっぱりする気さえする。
裏にフタがあり、そこが使用後のポーション入れになる
ただ加熱式たばこのような煙を模した白い蒸気もないし、これといったニオイもなく、異物感はある。それに慣れることが通常たばこユーザーの第一の関門だと思う。やはり白いモクモクとした見た目が欲しいという人の中には、「プルーム・テック」を同時使用して、ニコチン感を高めて満足感を得るというツワモノもいるようだ。
もうひとつの和テイストが「梅」だ。たばこのフレーバーで梅味とはかなり冒険的である。だが、梅の酸っぱいフレーバーを感じながら口に入れると、けっこうおいしい。梅と言っても、これは梅ミント味だ。
清涼感がありつつの、梅のさわやかな酸味なので、口の中に入れるのに抵抗はない。またスヌース自体も、使用しているうちに歯茎が慣れるので、だんだん楽になってくるし、異物感も感じにくくなる。刺激もミントの清涼感があるので、口の中のさっぱり度はこちらのほうが強めに感じた。
使用中は、何かが挟まっている違和感はある
煙も出なければ本人以外風味は感じられないので、周囲に気を使う必要はまったくないのが無煙たばこだ。周囲に子供が走り回っていたとしても、副流煙自体が存在しないので、遠慮せずに楽しめる。
ほかにも長時間にわたる飛行機や新幹線移動など、ニコチンが欲しくてもどこでもたばこが吸えないという状況は今後どんどん増えていく。無煙たばこは、そうなった時の緊急避難的ニコチン補給方法としても非常にすぐれている。ニコチン欲求が強い人はいざという時のために、常にバッグの中に入れておくというのもひとつの手だと思う。
ただ、今後スヌース1本でいけるかどうかは、別の話だ。やはり紙巻きたばこや加熱式たばこと併用するのが自然だろう。吸えない時のニコチン補給手段として、状況に合わせて活用するのが、改正健康増進法時代の喫煙スタイルになると思う。