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うま味とうま味調味料のこと。

うま味調味料を使うか使わないか。
味が決まらないときに頼りになると思う人は使えばいいし、喉が渇いたり強すぎて嫌という人は使わなければいいのです。
それぞれが、好き好きで決めることと思っています。

わたしがこどものころ、母もまわりの大人も、野菜のおひたしに化学調味料とお醤油をセットでかけていました。昭和のそのころは、化学調味料は料理をおいしくする魔法の粉と広く思われていたわけです。
以前、中国料理のレシピにはほぼ必ず「味精適量」とありました。味の妖精?化学調味料のことです。

化学調味料はグルタミン酸ナトリウム。
昆布のうまみはグルタミン酸。
どう違うのでしょうか。
グルタミン酸は池田菊苗博士が1900年代前半に昆布から発見しました。
そしてメーカーは研究を重ねて、化学調味料を生み出しました。
そして、ほんだしの登場。自炊の担い手たちはどんなに喜んだことでしょう。
自炊の中で時間がかかる出汁とり。前日寝る前に鍋に昆布を入れておいて、朝、火にかけて沸く直前に昆布を引き上げ、鰹節を入れて出汁にする。そこからの解放でした。台所の困ったことに応えた調味料だったのです。

でも日本人、真面目すぎなかったか?そんなにきちんとしなくたっていいんじゃなかったか?
昆布は乾物だから、水につける時間があったほうがいいけれど、湯を沸かすときに入れたって最大効果は望めないけど出汁は出る。沸かしてしまったって、うちのごはんだ。大丈夫だ。今の人たちのように、水出汁(昆布水)を使うのも一手だ。
日本人、真面目だったんだろうなぁ。

そして、ここから端を発した化学調味料問題には、料理の仕事をする中で時々出くわすのです。

そんなことを普段から考えていたところで、古谷真知子さんのnoteを読みました。わたしのアタマの中で共感の嵐が起こりました。ブラボー!

化学調味料は、昆布や野菜のうまみであるグルタミン酸をさとうきびから抽出して作ったものなので、グルタミン酸の特徴が際立って突出しています。
好きな人には、「うまみとはこれだ」ですし、嫌いな人には「強すぎる」です。
昆布には、上の記事のコメントで古谷さんが書かれているように、グルタミン酸だけではなく、いろんな味が入っています。

それは、その昆布の種類だけでなく、育った海のその場所の味。そして、乾燥仕事をした環境の味。手をかけた漁師が生み出した味です。

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礼文島で。手前の小舟でひとりで昆布漁をします。

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羅臼の養殖昆布の漁場です。
昆布というと、どれも同じ感じがすると思いますが、味は種類と、育った環境で違います。
真昆布を専門に扱っている昆布屋さんのお話に思わずのけぞったのですが、
ほんの100メートル離れていても昆布の味が違うとのこと。
まるでワインのぶどうですよ。
昆布は漁から乾燥、成型までを漁師が担うので、その人の仕事が味に出ます。
まるでワインですよ。

そう、昆布はテロワールなんです。

場所と人、伝えられてきた技術が作り出した深い広がりのある味。

化学調味料のうまみの強さとメーカーの工夫を認めながらも、
わたしは昆布をポリっと折って、汁物に入れるのが好きです。

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今朝の電鍋スープでした。












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