ベトナムにもワクチン提供を検討 6月中の輸送目指す 政府

新型コロナウイルスワクチンの海外への提供をめぐり、政府は、4日、台湾におよそ120万回分を無償提供したのに続き、接種が遅れているベトナムに対しても、ワクチンを提供する方向で検討に入りました。

新型コロナウイルスワクチンをめぐって、政府は、国内の接種に必要な量を上回る分については、海外に供給する方針で、4日、台湾に対してアストラゼネカのワクチン124万回分を無償で提供しました。

これに続き、政府は、接種が遅れているベトナムに対しても、ベトナム側からの要請を受けて、ワクチンを提供する方向で検討に入りました。

ベトナムでは、4月末以降、感染者の増加傾向が続いていますが、イギリス・オックスフォード大学の研究者などのまとめでは、ワクチンを少なくとも1回接種した人の割合は、3日の時点で1%余りで、ASEAN=東南アジア諸国連合の10か国の中で最も低い水準にとどまっています。

政府は、早期に届けられるよう、国際的な枠組みは経由せずに直接、ベトナム側にワクチンを提供したい考えで、早ければ今月中の輸送を目指し、検討を急ぐことにしています。

ベトナム政府 中国製のワクチンの緊急使用を承認

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、ベトナム政府は中国国有の製薬会社シノファームのワクチンの緊急使用を承認したと4日、発表しました。

これまでにベトナム政府は、イギリスの製薬会社アストラゼネカなどが開発したワクチンや、ロシアが開発した「スプートニクV」の緊急使用を承認していますが、中国製のワクチンの承認は初めてです。

ベトナムではこれまで感染者の数が比較的抑えられてきましたが、ことし4月末以降、多い日には1日に400人以上の感染が新たに確認されるなど感染が広がっています。

このところベトナム政府は、国民の70%に当たる1億5000万回分のワクチンを年内に調達するという方針をメディアなどを通じて繰り返し伝え、各国の政府や製薬会社に働きかけを強めています。

ベトナムは、ASEAN=東南アジア諸国連合の中で、唯一中国からワクチンを調達せず、慎重な姿勢を見せていましたが、感染の拡大でワクチンの確保が急務となる中、調達先を広げるために中国製ワクチンの緊急使用の承認に踏み切ったものと見られます。