国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区)は27日、原子力基本法など5つの改正案を束ねた「GX脱炭素電源法案」が衆院本会議で可決されたことを受け、以下の声明を発表しました。同法案では、これまで原則40年(最長60年)に制限されていた原発の運転を撤廃し、60年を超える運転を認める内容を含んでいます。

「60年を超える原発の運転を可能にする本法案は、東京電力福島第一原発を受けて設けられた安全規制を無視して原発への回帰を強く促すだけでなく、世界的に進む再生可能エネルギーへの移行を後退させるものであり、決して受け入れられるものではありません。

原子炉は常に放射線による劣化に晒されています。原発のリスクとして指摘される自然災害や戦争などだけでなく、老朽化した原発は運転中、常に高いリスクと隣り合わせとなり、その維持には莫大なコストがかかります。いまだに収束していない福島第一原発事故の例を見ても、安全面からも経済性からも、一刻も早い原発からの脱却が必要です。

政府が進めるグリーントランスフォーメーション(GX)戦略は、脱炭素推進と安定した電源構成の実現を掲げています。しかし原発は、政府や電力業界が喧伝するような脱炭素の解決策にはなり得ません。原発は、地震などの災害や運転上の大小のトラブルによって頻繁に停止し、そのためのバックアップ電源として、主に火力発電に頼っています。原発はクリーンな電源というのはグリーンウォッシュに過ぎず、温室効果ガス排出削減のためには、再エネの拡大が必要です。

本法案を含めたエネルギーをめぐる一連の政府の方針は、電源構成における原発の再拡大ありきの議論となっています。エネルギー供給の安定やエネルギー価格高騰を口実に、原発再稼働を進めるのではなく、将来に渡ったエネルギー政策という観点から、エネルギーの効率化と地域や自然と共生できる再エネ導入を大きく加速させるべきです」

以上