6年ぶりとなった日本でのメジャー開幕戦。東京ドームは熱気に包まれたことだろう。何せ、あのドジャース大谷がいて、カブス今永、ドジャース山本の日本人投手が先発マウンドに上がった。今後、こんなカードを見ることがあるだろうか。ソフトバンク王球団会長も東京ドームに駆けつけ、熱視線を送っていた。

「日本のレベルは上がって来ていると思うよ。一昨年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも勝ったしね。その前もイチローや、松井もいたし。(日本の)トップレベルの選手はほんと向こうと差がない高いレベルだと思う。大谷なんかもいてね。でも、(メジャーと比較して日本は)全体的にはまだ差があるかな。体格とか肩の強さなんかね。向こうに追いつくにはねえ、そうねえ、あと40~50年はかかるだろうね」

日本開幕を控え、両チームが来日したときに王会長に日米の力の差を尋ねてみら、こんな答えが返ってきた。本音だろう。大谷ら多くの日本選手が海を渡ったように、メジャーは夢舞台。そこで超スター級の活躍を見せる彼らへの羨望(せんぼう)のまなざしを送っても、やはり「憧れ」ばかりでは少しばかりさびしい。2025年のNPB開幕を10日後に控え、日本のプロ野球も彼らに負けない「魅力」を発信してもらいたい。

「めざせ、世界一!」を永遠の球団スローガンにしているソフトバンクには、そのトップランナーを目指してもらいたいものだ。今季のチーム目標はリーグ連覇と5年ぶり日本一奪回。「勝つ野球」は絶対条件だろうが、球界のさらなるレベルアップに向けた視点も忘れないでもらいたい。

「憧れはやめましょう」。一昨年のWBC決勝前に大谷はそう言って侍ジャパンを鼓舞した。心ときめく今回の東京シリーズだが、NPBの選手たちにはある種の悔しさも感じてもらいたいものだ。【ソフトバンク担当=佐竹英治】

カブス対ドジャース デーブ・ロバーツ監督と談笑する王貞治ソフトバンク会長(撮影・たえ見朱実)
カブス対ドジャース デーブ・ロバーツ監督と談笑する王貞治ソフトバンク会長(撮影・たえ見朱実)