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This article was written on 20 11月 2011, and is filled under インタビュー記事累計, 本間毅氏.

ここ数年はスタートアップブーム×本間毅氏(1)


ここ数年はスタートアップブーム×本間毅氏(1)http://entrepreneursmind.net/wp-content/uploads/2011/11/912232e4520b9d1242ef2efb9aa34e85-150x150.jpgEntrepreneurs' Mind

ここ数年はスタートアップブーム×本間毅氏(1)今回はシリコンバレーで働く本間毅さん(@thonma)にインタビューしてきました!
今回は特にスタートアップの人向けに書いてます。

本間毅(@thonma)

1974年生まれ。中央大学在学中に起業。1997年にWebインテグレーションを行うイエルネット設立。ピーアイエム株式会社(後にヤフージャパンに売却)の設立にも関わる。2002年イエルネットの全営業権を譲渡し、2003年ソニー株式会社入社。ネット系事業戦略部門、リテール系新規事業開発等を経て、2005年よりグループ内のネットメディア開発。2008年5月よりアメリカ西海岸に赴任。電子書籍事業の事業戦略に従事。現在はシリコンバレー在住。2012年2月楽天株式会社執行役員就任。

blog「イントレプレナーの視点」:http://takeshi.weblogs.jp/

シリコンバレーで日本人起業家を支援

「現在、僕は日本の大手メーカーの海外駐在員です。もともと、大学生のときに起業をし、その後大企業に入りました。普通とは全く逆のアプローチです」

右は本間氏のブログ、「イントレプレナーの視点
イントレプレナーとは企業内起業家のこと。ブログ名は彼の職歴からきている。

「もともと、ベンチャー界隈のつながりは強かった。一緒に起業してた仲間、同時期に起業していた知り合い等々。また、シリコンバレーに来てからもベンチャーと触れ合うことはよくあるのですが、日本から海外に出て活躍する起業家っていないなあ、と僕は漠然と感じていました。もっときつい言葉で言えば、シリコンバレーにおける日本人の存在感はほぼゼロ。アジアの中でも韓国、中国、台湾、インドからは来ているのに、日本人だけがいなかった」

今では少しずつ増えてはきたが、少し前までは日本のスタートアップも日本のベンチャーキャピタリストもごく少数だったそうだ。シリコンバレーのスタートアップシーンの中に日本人が圧倒的に少ない。

「3.11には震災が起きてしまった。もともと日本は政治で混迷を極めていたが、その上震災が起きて……もう日本はボロボロ。そこで思ったのが、海外で活躍してるベンチャーや海外で活躍してる日本企業が必要だということ。これには2つの理由があります。1つ目は、日本人に希望をもたらすため。その中で海外で活躍するベンチャーが出てきたら日本に明るい希望をもたらすことができる。これはメンタリティの問題」

たしかに、今の日本に良いニュースはあまり流れてこない。ゆえに、希望を失っている日本人がたくさんいる。

「2つ目は、日本市場の成長のため。日本市場は縮小に向かっているので、海外に展開するってことも考える必要がある。だから、楽天とか、ユニクロも海外に出ていくんだと思うよ。これはマーケットの問題」

そして、最近はだんだんといろんな若者がアメリカにやってくるようになってきた。しかし、心配な点もちらほら。

「やはり起業家としての経験もまだまだ足りないし、こっちで起業することについてのノウハウがまるでない。なので、放置していたら危ないなと思った。だから、ランチの時間や勤務後など、自分の仕事の空いてる時間を使って話を聞いてあげるようになりました。それだけでなく、いろんな人に読んでほしいと思ってブログに書き始めた。アメリカのベンチャー事情や、なぜこっちで起業すべきなのかをね。書いているとアクセスがものすごく増えたんだよね。原因を調べてみると、同じことを考えている人たちがRTやシェアなどをしてくれたからなんだ」

いまはスタートアップバブル?

「日本人起業家が渡米してくる背景としては、シリコンバレーでスタートアップブームが起きたこと。これはだいたい2年くらい前の2009年の終わり頃。リーマンショックで経済がガタガタになって、オバマによる経済復興が始まった。グリーン・ニューディール政策を提唱し、環境系やクリーンテック等に補助金出すようになってから、ベンチャー投資が活性化し始めたんだ」

2009年のグリーンニューディール政策。米国のオバマ大統領が提唱したものだ。
いま、バブルが起きている。彼はブログにはそう書いていた。

「昔のネットバブルの特徴は、全然儲かってない赤字会社を無理矢理上場させていた。その上場した会社の将来にすごい期待をして高値の株価がついた。だから、実は、実体経済がなかったんだよね。その株をバックにした株式交換によって会社を買収していた。なぜなら、現金がないから。しかし、さすがに市場もそのヤバさを理解し出し、株価が一気に下がりだした。当時、IPOしたのにつぶれた会社がわんさかありましたよ。これが2000年頃のバブル」

では、現在起きている「バブル」はどうなのか。

「でも、今のブームの特徴はキャッシュがあるんだよね。GoogleやFacebookは広告などで十分な現金を稼いでいる。そして、そのお金で買収をする。買収ってGoogleから見れば「買収」なんだけど、ベンチャー側から見ると「Exit」なんだよね。要は、昔のバブルと比べると、IPOしなくても買収できるキャッシュがある」

例えば、作ったiphoneアプリがすごい当たって、10ヶ月後にGoogleが買いにきて15億円くらいになる。そんな嘘みたいな話が実際に多く起きてるんだよね。そうすると、買われた人はExitで得たお金を他の起業家に投資するんですよ。Facebookのような会社が買収することによって、お金が起業家に回り、さらにそこから投資が生まれる。というスタイルが生まれるようになった。

エコシステムが構築されている

「これまでの投資って、『VC』等の投資家が成長を約束されるベンチャーを選定し、安全そうな会社に投資をしていた。特に、あと半年でIPOするとか、確実に利益がでるようなベンチャーにね」

VCはファンドとしてお金を預かり、ビジネスとして投資をする。したがって、お金を預っている以上、ある程度リスクの低い会社を狙って投資をするものだ。

「しかし、さっき言ったような成功した起業家やお金を持っている投資家がリスクの高い起業家にポンとお金を出すわけですよ。これが『エンジェル投資家』」

彼らはこれまでのVCと違い、もっとアーリーステージのベンチャーに対してお金を出す。

「さらに、能力高そうだけど経験不足な若い起業家たちをどうにかしてあげたいっていう人が現れてきた。これが『インキュベーター』。代表例がYcombinatorや500startups、Dogpatch Labなどがある。」

日本においても、この1,2年でインキュベーターは急増している。例えば、Samurai IncubateIncubate Fundなど、勢いのあるインキュベーターが数多く存在している。また、サイバーエージェントやKDDI、GREEなど大手IT企業も新たにインキュベーション事業を始め出している。

「『インキュベーター』とは語源からわかるように『起業家を育てる人』。3ヶ月~半年の間にプログラムを組んで、専門家などを呼んでセミナーを開いたり、投資家がメンターとして起業家にアドバイスをする。そこでは、マネジメント手法やファイナンスの知識、ビジネスプランの策定法など、起業家に対して一種の教育をする。起業家を囲むように、会計士・弁護士・投資家などが集まって一つのエコシステムが形成されているんだ。若手の起業家にとって最高の環境だよね」

良質なエコシステムのなかに、お金が集まってくる。そして、育てる人が増え、チャレンジする人も増えてきた。こういったプラスのサイクルが2年ほど前から起きている。

バブルで気を付けるべきこと

ただ、本間氏はいまのスタートアップバブルについて警鐘を鳴らす。

「スタートアップ界隈の動きが拡大し、お金の動く金額が次第に大きくなっている。そのおかげで、バブルチックな情勢になってきてるんだよね。なぜなら、単純に、ブームに乗っかりたいからやるという人たちがいるから。こうやって、量の増加が質の低下を招くのが「バブル」なんだよね。

氏は、下記の記事を紹介してくれた。
Wall Street Journalの記事だ。

「この記事を目にしたときに『ああ、きたな』と思った。この記事には、スタートアップは資金難に陥るだろうという趣旨の内容で、ベンチャー投資の際の評価額が下がっていることを指摘していました。AngellistのNaval氏も1日100社ほどアプライがあるが、投資が決まるのは1,2社くらいだと言っていたので、確実に勢いは落ちていると言えます」

上記の記事によれば、ちょっと前まで平均企業評価額が$6〜8millionだったのが、今では$3〜5millionまで下落しているそうだ。

「僕の見解としては、これは単純に正常化に向かっているんだと思う。これまでが過大な評価だったわけだ。例えば、まだ立ち上げたばかりなのに、資本金300万の企業を、2000万の企業価値があるということにしましょうといって投資を入れるとかね」

しかし、本質は2000年のネットバブルとは決定的に違う。今回は実体経済はあるが、加熱しすぎて内容が希薄化しているというイメージだ。

「正常化に向かっているとはいえ、ベンチャーの生存率はどんどん下がっている。現状、お金も集まりにくくなってくる。もちろん、これは企業の環境とか個々の企業の価値によって変わってくるものなので、あくまで全体的な話ですが。このバブルは弾けないかもしれない。しかし、弾けることを前提に動いた方がいいです。お金の使い方を慎重に考えたり、人の雇い方を考え直したり、経営というものを引き締めてやるべきだということ。どんなに良いサービスを作ってもどんなに良いチームを作っても、お金がないと続きません。だから、早めにそのための対策を打つべきです」

続きはこちら→いま日本人が持つべき「目標」×本間毅氏(2)

 
著者プロフィール: Samurai Incubate Inc.所属 Entrepreneurs’ Mind編集長 両角将太
早稲田大学政治経済学部経済学科在学中。
起業家インタビューの繋がりがキッカケで
Incubate FundやSamurai Incubateと関わるようになり、Samurai Incubateに入社。
現在は、Samurai Startup Islandにてイベントやメディア、SSI施設の運営を担当中。
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