『日経ものづくり』2024年2月号の特集テーマは「シニア再始動」。社会的な労働力不足により、雇用延長などによってシニアを退職させず活用する動きを紹介した。業種にもよるが、早期退職させるよりも労働力として維持する選択肢のほうが主流になりつつある。
同特集で、シニアが活躍する企業として登場するHIOKI(日置電機)と住友電設に共通していたのが「40歳代の従業者が特に少ない」ことだった。企業や産業の高齢化を表現するときは、普通は「高齢就業者数(65歳以上)は20年間で32万人増加」(2023年版ものづくり白書)のように、一定年齢以上の人数なり割合なりが増えた、などと形容される場合が多い。しかし実態はもう一歩複雑で、単に若手が少ないのではなく、次世代のリーダーを担う中間の年齢層が特に少ないのだという。
これまでも、同じような話を取材で耳にしたことはあった。40歳代といえば、就職氷河期といわれる2000年前後の時期に社会人となった世代。多くの企業で、人件費の増加を抑えるために新卒者の採用を絞った影響が現在に残っていると考えられる。とはいっても、その年代は人口(出生)が特に少ないわけではない。ある種の企業群に少ないのならば、どこか他の場所に集まっていることになり、それはそれで不自然とも感じていた。
本当に製造業などで40代が少ないのか、裏付けになるデータがないかと総務省統計局の「令和4年就業構造基本調査結果」を掘ってみた。まず雇用者全体(同調査の事項「従業上の地位・雇用形態」を「うち雇用者」に限定)を年齢区分で見てみると、「35~39歳」「40~44歳」の世代が特に少ないようには見えない(図1)。非正規雇用が特に多い可能性もあると思ったが、「30~34歳」「35~39歳」の正規雇用者が前後の年代に比べてやや少ないものの、大きな差があるようには見えなかった。製造業に区切って描き直しても、グラフの形はあまり変わらなかった(図2)。