日本を取り巻く安全保障環境が悪化するなか、岸田文雄首相は来年度以降5年間の防衛力整備に関する総経費を総額約43兆円確保し、2027年度以降は1兆円強を増税で賄う方針を示した。政府・与党内では「法人税増税」や、東日本大震災後に導入した「復興特別所得税」の仕組みを使う案などが浮上している。ただ、自民党が9日開いた政調全体会議では「バカヤロー!」などと怒号が飛び交い、「増税反対」の意見が相次いだ。
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党本部で開かれた全体会議。萩生田光一政調会長は冒頭、「増税は、さまざまな努力をした後の最後の手段」と、政府・与党間で確認していると説明したが、議員らの怒りは止まらなかった。
柴山昌彦元文科相が「唐突に金額が下りてきて、『増税1兆円が必要で、年末までに決めろ』という主張は疑問だ」と述べたほか、「このタイミングで、なぜ増税を決める必要があるのか全く理解できない」「国債で賄うべきだ」「党の選挙公約に入っておらず、党内議論もされていない」「増税で景気を冷え込ませるべきでない」などと異論が相次いだ。
安倍晋三元首相が生前、財源を国債発行で賄う案を主張していたこともあり、国債を選択肢から外し増税を前提としている政府に対し、安倍派議員を中心に批判が噴出したという。