中国の習近平国家主席は23日、浙江省杭州で杭州アジア大会の開会式に出席し、開幕を宣言した。習氏の相次ぐ国際会議欠席や、人民解放軍や外務省の幹部の突然の動静不明や腐敗捜査、台湾への軍事的圧力の高まりなど「中国の異変」が伝えられるなか、自身の健在ぶりをアピールした。一体、中国で何が起きているのか。ジャーナリストの加賀孝英氏は、米国が昨年10月に暴露した中国ロケット軍の機密文書と、習氏の「台湾侵攻」暴走を阻止しようとする中国国内の抵抗勢力(レジスタンス)の存在に迫った。
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「スポーツで平和を促進し、冷戦思考を食い止めなければならない」
習氏は23日昼、杭州アジア大会の開会式に先立ち、市内のホテルで歓迎式典を開催し、米国などを牽制(けんせい)して、こう語った。大会に列席した各国の国家指導者や、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長らが招かれていた。国営通信新華社が伝えた。
開会式の中継で、世界が注目したのは台湾選手団の入場時だ。国営中央テレビのアナウンサーは、台湾を国際オリンピック委員会(IOC)の規定に基づく呼称「チャイニーズ・タイペイ(中華台北)」ではなく、「中国台北」と紹介した。テレビには、拍手する習氏の姿が映し出された。国内の視聴者に対し、台湾が中国の一部だと強調したのだ。
中国の台湾への野心は、中国の韓正国家副主席が21日、米ニューヨークでの国連総会一般討論で演説した、次の言葉でも明らかだ。
「台湾は昔からの中国の領土の不可分の一部だ」「祖国の完全統一を実現する」「中国人民の国家主権と領土を守り抜く堅固な意志、強大な能力を(米国は)見くびってはならない」