インタビュー㊦
非合法武装組織「クルド労働者党(PKK)」に資金提供しているとして昨年11月、トルコ政府は日本国内のクルド人団体をテロ組織支援者と認定、トルコ国内の資産を凍結した。この件についてギュンゲン駐日トルコ大使は産経新聞とのインタビューで、「ずっと以前から日本の当局へ情報は伝えていた」と明かした。
――PKKについて
「クルド系だから問題視しているわけではない。PKKは分離独立を目指してテロ活動を行っており、1990年代から4万人のトルコ国民を犠牲にしてきた。このような団体を容認できる国は日本を含め世界のどこにもないはずだ」
――日本国内にも支援者がいた
「日本でもPKK関連団体が活動していることはずっと以前から知っていたし、日本の当局にも情報を伝えてきた。当局は私より、はるかに多くの情報を持っているはずだ」
――テロ支援者認定された団体が2023年2月のトルコ地震の際、日本国内で募金活動を行い約4千万円を集めたとしているが
「今回の決定は1つの案件だけに基づくものではなく、過去のことも含めて決断されたものだ。特定の個人や団体について申し上げるのは控えるが、メディアで一般的に報道されている内容からだけでも、誰がどんな活動をしているのか見えてくるだろう」
《公安調査庁が世界のテロ組織の情勢をまとめた年報「国際テロリズム要覧」2023年版で、テロ組織のリストからPKKなどが除外され、トルコ国内で反発が広がった》
――この件については
「両国は以前から、安全保障をはじめ多様な分野で連携してきた。二国間関係にはさまざまなことがあるが、長い目で見て対応していくことが大切だ。今回のリストについても、特段われわれが申し上げることはない」
【クルド労働者党(PKK)】 トルコ国内のクルド人の非合法武装組織。クルド人国家の樹立を掲げて1984年に武装闘争を開始、90年以降、国内各地でテロを引き起こしてきた。