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あっさり買える……これは危ない

Kindleは読書体験を変えるか?

2009年10月30日 09時00分更新

文● 秋山文野

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直射日光の当たる屋外へKindleを持ち出してみる。電子ペーパーの特徴のひとつは、太陽光のあたるところでも読みやすいことだ。この明るさでも文字が視認しやすい。

電子書籍は本当に伸びるのか

 インプレスR&D「電子書籍ビジネス調査報告書2008」によれば、2008年3月末時点での電子書籍市場規模は約355億円(内PC向けが約72億円、ケータイ向けが約283億円)で、前年比195%の伸びを見せている。

Kindle本体。電源は自動でオフになり、数パターンのスクリーンセーバー画像を表示する。

 総務省がまとめた「モバイルコンテンツの産業構造実態に関する調査結果」でも、モバイルコンテンツ市場における電子書籍の市場規模が、2007年の221億円から2008年の395億円に拡大していると書かれている。

 このように電子書籍市場は、右肩上がりの成長を遂げている。しかし、全体では大ブレイクという印象はまだあまりないのではないかと思う。

 「電子書籍元年」と言われた2004年に登場したソニーの読書専用端末「LIBRIe」やその前年に登場した松下電器産業(当時)の「Σブック」が国内で根付かなかった記憶も新しい。

 伸びているのはケータイコミックを中心にしたモバイルコンテンツで、ユーザー層が限られている感もある。楽天リサーチ・楽天ブックスによる「読書・図書に関する調査」では、調査対象のうち69.2%が電子書籍を「よく知っている・やや知っている」と答えたものの「利用したことはないし、今後も利用したくない」が43.3%という結果となり、期待感があまり高くない。

電源をオンにして「HOME」を表示。購入した書籍はここに一覧表示される。最後に表示したコンテンツがリストのトップに表示される。書籍が数点の場合はよいが、1500冊も保存した場合はAmazonの言うように検索機能が必須だろう。背面にはスピーカーが付いている。

 そんな中、アメリカで2007年の発売以来ユーザー数を順調に伸ばしてきたブックリーダー「Kindle」が、もしかして日本を席捲してしまうのでは? とささやかれている。2009年2月には低価格・高精細表示版「Kindle2」を発売。正式な出荷台数は公表されていないが、約2ヵ月で30万台以上を売り上げ、年内に80万台を突破するといわれている。

Kindleを操作。左手は「PREV PAGE」「NEXT PAGE」ボタンを操作するのでページめくり専用、右手で「HOME」「MENU」「BACK」ボタンやポインティングデバイスを操作し、機能の呼び出しを行う。

 Kindleの特徴は、軽量の本体にE Ink電子ペーパーを搭載し、ペーパーバックや新聞と同程度の表示精度を実現したこと。また、3Gワイヤレス通信端末として動作し、本体から直接書籍を購入、ダウンロードできたり、電子書籍の価格が安く、ベストセラー書籍を10ドル程度で購入できる点なども魅力だろう。本体価格も数回値下げし、現在では259ドル(約2万3400円)となっている。

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