「ウェルかめ」も厳しいスタート 朝ドラ低空飛行のワケ

2009.09.30


多部未華子(右)から倉科カナへとヒロインのバトンが渡された【拡大】

 先週終わったNHK連続テレビ小説「つばさ」が、朝ドラ史上、期間平均視聴率のワースト記録を更新してしまった。破天荒なドタバタ喜劇はまれに見る賛否両論も巻き起こしたが、ドラマ通の採点は…。

 「つばさ」は埼玉県川越市を舞台に、和菓子店の娘のヒロイン・玉木つばさ(多部未華子)がコミュニティーFMのDJとして奮闘する物語。

 サンバダンサーが突然踊り出したり、祖父(小松政夫)の遺影の表情が動いたり、ラジオの“分身”(イッセー尾形)が登場したりと、とにかく演出は型破りだった。

 ちゃぶ台を囲む食卓シーンでバックをトロッコが横切るなど久世光彦ドラマを彷彿させるシーンも。「寺内貫太郎一家」の西城秀樹も街の“顔役”として登場した。

 型破りな演出に対し、視聴者から「ギャグが意味不明」「朝から騒がしい」といった意見も舞い込んでいたという。それを裏付けるかのように、視聴率は期間平均で関東地区が13.8%、関西地区が11.3%と、両地区ともワースト記録を更新した。

 だが、コラムニストのペリー荻野氏は「ラジオ局員役の松本明子は所帯じみた役をやらせたら天下一品。ROLLYもチャーミングでした。つばさの祖母役の吉行和子も昔の久世作品の森光子、加藤治子の立ち位置にはまっていた」と、キャスティングを高く評価。

 その一方、「『時間ですよ』や『貫太郎一家』を楽しんだ世代は、女性も含めて朝は仕事なんかで忙しくて見られない。作り手と視聴者の“すれ違い”があったのでは」と指摘する。

 また、作家の麻生千晶氏は「ハチャメチャぶりが面白かった」としながらも「クドカン(宮藤官九郎)の亜流。NHK風の臭い人情話、周りがヒロインを温かく見守るという朝ドラの定番パターンを壊してほしかった」と不満をもらす。

 さらに「祖母の年齢は72、73歳という設定ですが、あれでは明治、大正の女。戦後の6・3・3教育を受けている昭和2ケタ世代はあんなに古風ではなく、実情に合っていない」と批判。ただ、ヒロイン役の多部については「折り目正しく、すがすがしい女性を地で演じられる貴重な存在」と絶賛。「テレビより、ちゃんとした映画作品で育っていくのがいいのでは」と期待を寄せた。

 代わって28日にスタートした「ウェルかめ」は徳島が舞台で、出版社の新人編集者・波美(倉科カナ)がヒロイン。こちらも初回視聴率は関東地区で史上ワースト2位の16.0%、関西地区は史上最低の11.8%と、厳しいスタートを切った。

 波美の父親(石黒賢)はプロサーファーとして活躍した過去があり、家業の旅館はしっかり者の妻(羽田美智子)にまかせているという設定だ。

 「ステレオタイプな話になりそう。酒井法子と自称プロサーファーの夫の薬物事件で、サーファーのイメージが悪くなってしまったのはお気の毒」と麻生氏。

 ペリー氏は「さらっとしていた『つばさ』とは逆の“ど根性モノ”になったら面白い」と話す。亀のようにコツコツ数字を伸ばせるか。

 ※視聴率はビデオリサーチ調べ。

NHK連続テレビ小説
 

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