今後の国立高等専門学校の在り方に関する検討会(第2回) 議事要旨

1. 日  時:平成14年10月4日(金)  10:30〜12:00

2. 場  所:霞山会館さくらの間4階会議室

3. 出席者
(委    員) 四ツ柳隆夫(座長),東市郎,小野田武,黒田壽二,西垣和,西永頌,根本實,服部賢,松本浩之,米山宏,渡邉隆
(文部科学省) 工藤高等教育局長,木谷高等教育局審議官,�コ久専門教育課長,佐久間創造教育振興室長,児島専門教育課課長補佐  他

4. 配付資料
資料1       「今後の国立高等専門学校の在り方に関する検討会」第1回議事要旨(案)
資料2       国立高専における法人化問題検討の状況(第1回資料4  抜粋)
資料3       国立高等専門学校の法人化の在り方(検討課題)

5. 議  事
(1)   事務局と渡邉隆委員から資料についての説明があり,その後資料について自由討議を行った。

(○:委員,●:事務局)

  大学と高専の法人化の議論は,検討の前提やその将来像について相違があることから,基本的に相当違って然るべきではないか。前提は,国費の依存度や高専間の格差,競争などで大学とは異なる。高専の将来像を見据え,それにふさわしい制度設計を考える必要がある。

  高専は大学に比べて,個々の高専の個性化が発揮されていないのではないか。果たしてその様な在り方が良いのか。各高専が個性化,活性化,教育研究の高度化をしていくことが必要ではないか。大学と同様に法人化のスキームを利用して,各高専の自主性,自律性を確保し,外部評価を行い,高専の個性化などが促進され発展していくのが良いのではないか。

  本科に重点を置く高専もあれば,卒業者の2割が専攻科に進学し,更にその7割強が大学院へ進学する高専まであり,予算面,教育体制の整備においても現実には様々な高専がある。質の高い技術者の確保が求められる中で,その社会のニーズに対して,高専は機動的に対応しやすい学校である。

  高専の将来像は,色々な可能性が考えられる。JABEEという技術者教育の評価機関や専門職大学院という新しい教育体系もできている中で,高専の教育体系もそれにリンクさせ,今まで培ってきた実践的で創造的な教育体系をより発展させることができる。この法人化を機会に,より効率よく,絶えずものを考えながら,ものづくりが出来るような教育を具体的に実現するにはどうしたらよいかを考慮しながら議論を進めるべきである。

  JABEEの試行審査の際,高専が大学のかなり強力なライバルであるという審査員の発言があった。専攻科を持った高専の力というのはかなりのレベルにあるのではないか。

  大学における学問の自由は,高専には制度的に位置付けられていないため,高専については教授会や教特法にいう人事の自律性を確保した運営の仕組みではなく,大臣が直接任命した校長のもとに行われている。大学とはその点について大幅に違う。
  国立大学法人は,この機会にマネージメント能力などを高めるなど前向きに捉えようと考えており,その様な視点からも高専も,法人格を持ったほうが良いのではないかと考えている。
  しかし,法人の在り方,くくり方というのはどういう形態が1番良いのか考えていく必要がある。

  国立高専の場合は基本的に地域に根ざして配置されており,それぞれの高専間には競争関係はない。法人化の方向性によっては非常に良い姿になると思う。社会のニーズとしてより高度な技術や創造力が必要とされているが,あまりにもそのために,高専の中で研究を多く抱え込んでしまうのはどうか。高専の目的というのをはっきりと打ち出して,社会に訴えていく必要があると思う。現状においては,校長のリーダーシップが十分に発揮できるようになっているが,独法化すると経営的な機能が付加されることにより,この経営と教学の機能をどのように組み立てていくべきなのかという視点が重要である。

  学生の教育に反映される研究を行うということが大事だ。

  先生方が然るべき研究に接していないと,高度な教育は出来ない。ただし,高専は大学以上に教育のウエイトが高い。

  高専は非常に地域との密着度が高い。それが高専の組織に積極的に作用している。地域と地域振興その他に高専が果たしている役割というのは非常に大きいものがあり,また十分役立っている。その意味では現在の高専の在り方というのは極めて良い。さらに地域振興を推進するためにはどうすべきかという点を念頭に考えていくべきである。

  高専は一般教養が足りないとよく言われる。学生は在学する5年プラス専攻科2年の中で大きく変わるが,一般教養をどう改善するか。また長期間1つの学校の中にいるという特性も考えるべきである。ところで今の高専の規模では,全く採算がとれないのではないか。国策かつ国立学校である以上は国から潤沢な資金を確保すべきである。一番大事な時期を預かるというのは高専であり,また経済基盤を支えているのは高専の卒業生が多いことからもその点について,十分訴えていく必要がある。

  高専の特色は,高校段階を受け入れ,技術者教育に必要な基礎教育が非常にきめ細かにきちんと行われているところである。長期間同一の学校に在籍するメリット,デメリットはあると思うが,現在,各高専において高専の教育はどうあるべきかという議論が真剣になされ,カリキュラムの見直しなどが一生懸命検討されている。5年一貫教育が高専の非常に良い特色であることから,教育課程に磨きをかけていくことが必要だと思う。

  技術教育には高専の本科の一貫した教育は,非常に有利な点がある。さらにより良くするために是非教員の流動性を高めていただきたい。高校は他校との交流がある。高専は一つの学校にずっと留まるという印象があるので,この機会に良い仕掛けを作っていただきたい。

  教員の流動性の問題というのは,組織の活性化の点からも必要であると十分認識している。大学の場合は私学も含めバラエティーに富んでいることから,受け皿が大きい。それに対し,高専の場合は高校との人事交流は行いにくい。結局,高専間か大学との間となる。その様な状況の中で流動化できるシステム作りを心掛けていかなければいけない。組織の活性化,教育の高度化にも関係してくる。

  諸説あるが,一説には2,000人の入学定員がないと私立大学の場合はやっていけないとも聞いている。55高専55法人というのは,その可能性について色々な意味で考えるべきところがある。

  経験則からいうと私立大学の場合,大学院がない工科系大学の損益分岐点というのは入学定員が1200人。大学院がある大学は1,400人と言われている。

  教育制度全体で創造性が課題になっているが,若年層の創造性教育に高専が果たす役割は大きい。また,創造性には広い人間的土壌が必要であり,そのために1年,2年は混合学級と称して全学科の生徒を一緒に教育する手法もとっている。創設から40年を経ても入学定員がほぼ一定の中で,15才人口が半分近くになっており,入学者の能力分布も変化している。多様化した学生に対してどのような教育を行い,育てていくかが現在の高専の課題である。

  高専は様々な面から教養教育について特徴のあることをやっている。第一に,寮生活を通して生活面,学習面の指導を教官が実施していること。第二に,研究経験者である教員がホームルームを実施していること。第三に,クラブ活動に教官のほとんどが参画していることである。高専教官は非常に教育熱心である。この良い制度を保証するように改善,改革し,充実する方法を検討するとよいのではないか。

6. 次回の日程
次回の開催日程は事務局から後日連絡することとなった。

お問合せ先

高等教育局専門教育課

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