湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ

2018年01月26日 | 北欧・東欧
○マテラッシ(Vn)ダラピッコラ(P)(stradivarius)1950/12/30フィレンツェ・CD

異様な迫力のある曲で、内容のある曲とはこういうものを言うのだろう。同年代の作曲家でも前衛的感覚の鋭さや新しいものへの貪欲さの強い、しかし同じくらい民族楽派としての立ち位置にこだわった作曲家もいまい。冒頭よりやや古風な国民楽派的メロディが続くがフランクからドビュッシーなどフランス派的な響きやフレーズが断続的に現れ、フォーレをエキセントリックにしたような音楽というべきか、思索的な繰言、あるいは短い叫びのようなものが何度も地面に向けて叩きつけられる、形式的なものなど殆ど無視され音楽は盛り上がっていくが、最後はアダージオの闇に沈む。個人的なもののみならず時代性とも切り離せない陰のある音楽で名技性に依ることなく円熟した書法が反映され、何か病んだ自己韜晦的なものも抽象的に昇華されている。演奏はある意味ニュートラルであるがゆえに本質に迫っているようだ。ヴァイオリニストは巧い。ダラピッコラは伴奏として完璧な表現を提供している。

※2009-05-18 09:41:14の記事です

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