湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第1番

2009年05月18日 | 北欧・東欧
◎トーテンベルク(Vn)ヴィスロツキ指揮ポツナン交響楽団(VQR)CD

モノラルだがモントゥBSOとの素晴らしいライヴ録音で知られざる姿を見せ付けた名教師若き日の正規スタジオ録音になる。これもまた素晴らしいバックオケに支えられ、ウィウコミルスカを彷彿とさせるアグレッシブなスタイルにやや冷たい技巧派の音であるが、ああいったヒステリックな荒々しさが無く、中期シマノフスキの透明感ある繊細な動きとスクリアビン的な音線・響きの妖艶さの両立するこの曲の特殊性を巧緻に描き出す。とにかく「欠けたところがない」。押しが弱いかといえばそうではなく、トーテンベルグ個人だけでも同曲のエキスパートたるところを見せ付け強靭な流れを作っている。民族性を打ち出した演奏ではないので(この曲に民族性はいらないと思うが)ややロマンティックに傾いたようにも聴こえるが、オケも含めて音が東欧的な鋭い響きをほどよく帯び、決して中欧やロシアふうの重ったるい音楽にはならない。ロヴィツキとは雲泥のヴィスロツキの職人的な腕前にも感服するし、このオケの安定感や丁々発止のアンサンブル能力にも驚いた。

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