湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆マーラー:連作歌曲集「亡き子をしのぶ歌」

2016年11月16日 | マーラー
○リタ・ゴール(Msp)アンゲルブレシュト指揮ORTF(INA,Le Chant Du Monde,Harmonia Mundi)1959/10/13パリlive・LP

この世代のフランス系指揮者でマーラーをやったとなるとマルティノンくらいしか思い浮かばないし(実際はミュンシュもパレーもアメリカではやっている)、この演奏についても記録としては唯一のもののようだが※、若い頃には様々な楽曲に挑戦していた流石「アパッシュ」アンゲルブレシュト、意外なほどの板の着きようで、リタ・ゴール名演集収録の一曲にすぎないとはいえ同ボックス一番の聴きものと言って過言ではない。色彩的で立体感のある構築性、と訳のわかったようなことを書くことも可能ではあるのだがこれはそう言うよりも素直にマーラー中期の声楽付き管弦楽曲の演奏としてよくできており、後期ロマン派の起伏ある表現を施したものだ。このさいゴールの独唱は全く無視して書くがアンゲルブレシュト統制下のORTFであるからこそ緊張感が半端なく、器楽ソリストの音色感や音響の透明感は素晴らしい。クリアなモノラル末期録音より終演後のブラヴォまで生々しく轟いてくる。高音打楽器の響きなど、密やかで精妙な管弦楽の施された楽曲においてはアンゲルブレシュトらしい、ドビュッシー的なメカニズムを見出したような注意深さが感じられて秀逸である。だが、冒頭からいきなり引き込まれるのはやはり、「マーラー」が出来ているからであり、もちろんそんなことはやらなかったろうが、もし中後期交響曲に取り組んでいたらマルティノン以上に清新且つ、自然なマーラーを描き出すことに成功していただろう。これはなかなかの演奏である。おそらく、CD復刻されるのではないか。音源提供していただいたかたありがとうございました。セバスティアンの大地の歌(69年ブザンソン音楽祭ライヴ、ケネス・マク・ドナルド(T))と、ル・コント伴奏の「若き日の歌」他ベルリオーズなどが収録されている。

※inaより別の放送ライヴ録音が配信された(2016)

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