5) 痛風発作・高尿酸血症の治療  その3

2)【痛風発作鎮静化後の治療】

【高尿酸血症の治療方針】
●痛風発作あり
  血清尿酸値 7mg/dl以上 → 薬物治療
●痛風発作なし
  合併症(腎障害。尿路結石・高血圧・高脂血症・虚血性心疾患・耐糖能異常など)あり
  血清尿酸値 8mg/dl以上 → 薬物治療
  血清尿酸値 8mg/dl未満 → 生活指導
  合併症なし
  血清尿酸値 9mg/dl以上 → 薬物治療
  血清尿酸値 9mg/dl未満 → 生活指導

1)痛風関節炎が沈静化したのちに、尿酸降下薬を少量より開始する

2)尿酸値や尿中尿酸値を測定しながら、徐々に尿酸降下薬を増量し、3-6ヶ月かけて維持量を決定する
   この間は痛風が再発しやすい。痛風関節炎が発症したら、関節炎が治るまでは尿酸降下薬の量は変更しない。 

3)高尿酸血症の治療の目的は、痛風発作予防、尿路結石予防、腎臓障害予防です。高尿酸血症の改善だけでなく、尿路結石を起こさないために尿量を十分に増やす、尿のアルカリ化などの尿路管理も行われます。

4)高尿酸血症は高脂血症、高血圧、糖尿病、肥満などの生活習慣病が合併することが多いので、これらの治療も同時に行います。

【6-7-8のルール】
-  尿酸の値は、目標値 = 6mg/dl以下、正常値 = 7mg/dl以下、治療開始値 = 8mg/dl以上 -

 血清尿酸値を4.6〜6.6mg/dlにコントロールしたときがもっとも痛風関節炎の発症が少なくなると報告されています。
痛風発作を予防するだけでなく、尿酸沈着による腎臓障害(痛風腎)や尿路結石を予防することは重要です。
  尿酸が溶解できる濃度の上限は、年齢・性別の差なく、7.0mg/dlです。
また、尿酸降下療法は8.0mg/dl以上で考慮し、合併症や病態に応じて開始します。
尿酸降下療法の目標値は6.0mg/dl以下とします。このとき急速に下げすぎないように注意します。

【無症状の高尿酸血症の薬物治療】

 高尿酸血症の人がすべて痛風関節炎を発症するわけではありません。
痛風発作を繰り返す人、尿路結石をたびたびおこす人、腎機能障害がある人、高度の高尿酸血症などが、高尿酸血症の薬物療法の対象となります。
治療の最終目的は、尿酸塩蓄積による臓器障害(関節炎、腎機能障害)の防止です。
痛風発作が軽快してから、かなり長期間継続することが大事です。

【長期管理の重要性】

 痛風の痛みは一時的ですが、その背後で合併症が進行しています。きちんとした治療を受けなかった場合、○発作頻度が増加、○同時に複数の関節炎が生じる、○膝関節や上肢の関節炎が起こる、○痛風結節が出現する、など重症化します。また、腎機能障害を生じ、腎不全になることがあります。
したがって、痛風発作が治まった後も持続的に高尿酸血症の治療を行うようにしてください。 

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