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ロシアで深刻な労働力不足、50万人以上が昨年軍に動員された可能性

  • 軍動員や国外脱出も影響、労働年齢人口は今後10年で6.5%縮小も
  • プーチン大統領は労働生産性の向上に注力するよう閣僚に求める

ロシアのプーチン大統領が進める軍備拡大が同国の労働力不足に拍車をかけている。ウクライナ侵攻に伴い、経済のあらゆる部門から軍へ動員された労働者は数十万人に上る。

  ブルームバーグ・エコノミクスの推計によれば、ロシア連邦統計局のデータは同国軍の規模が昨年に約40万人純増したことを示唆している。同国の失業率は記録的な低水準にある。プーチン大統領は第2次大戦後初の部分動員で30万人の動員を命じた。

  ブルームバーグのロシア担当エコノミスト、アレクサンダー・イサコフ氏によれば、軍に動員された人数は計50万人を突破した可能性が高い。具体的な数字が判明しないのは、ウクライナ侵攻開始以降に軍を除隊した兵士を埋めるために新規採用された人数が不明瞭なほか、民間軍事会社ワグネルといった企業に雇われた採用分が考慮されていないためだ。

Hundreds of Thousands of Russians Called-up for The War

Military recruiting covers decrease in employment in other sectors

Source: Federal State Statistics Service, Bloomberg Economics

  事情に詳しい関係者によると、ロシアは長期戦を念頭に今年さらに40万人の契約軍人を集めることを目指している。プーチン大統領は兵士の規模を115万人から150万人へ引き上げる計画を承認しており、2026年に達成する可能性があるという。

ロシア、兵士40万人の追加採用を画策-春は攻撃でなく防戦に注力へ

  昨年9月にプーチン大統領が動員を発表して以来、対象となっている多くのロシア国民が国外に脱出したことも人口動態をゆがめており、労働年齢人口は今後10年で6.5%縮小する可能性がある。ロシア銀行(中央銀行)は昨年12月、「ロシア経済の生産拡大能力は労働市場の状況によって大きく制約されている」と警告した。

  プーチン大統領は29日の政府会合で閣僚に労働生産性の向上に注力するよう強く求めた。ロシアの製造業は引き続き弱く、昨年の水準を下回っていると、大統領は警告した。

  統計局が調査する経済セクターでは約3分の1が昨年の雇用減を示したが、これに伴うマイナスの影響は軍の採用によってほぼ全て相殺された。動員や国外脱出などが男性労働者の減少やあらゆる産業での労働力不足を招いている。

Russia Unemployment Hit Lowest Ever | Second year of war is accompanied by further drop in unemployment
 
 

原題:Putin’s War Is Intensifying Russian Economy’s Labor Shortage (1)

(抜粋)

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