2009年04月29日

「罠」

「罠」


生きとし生ける物のすべての
生命力はたくましいものです。

さて
この仕事をしていると、往々にして人間の本性を
垣間見てしまうことがあります。
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先日の講演の際にも一部取り上げましたが
まさに巧妙に仕組まれた「合法的」な
遺産分割協議です。

遺産分割協議とは
相続人全員が「遺産分割協議書」に押印をすれば
成立します。

身内のことなので、第3者を立会人や進行役に
立てないで進められることが多いですね。

進行役は相続人の中の年長者がなる場合も
多いですし、配偶者の一方がなる場合もあります。

ただし
遺産総額の多少に拘わらずスムーズに合意に
至るケースは案外少ないものです。

何度か話し合いをし、漸く合意するのでしょうが
結局は相続人の誰かが折れて収まる場合も
多いことだろうと思われます。

しかし合意に至らないときは、裁判所に調停を
申し立てることになります。

そうなると決着するまで
さらにお金と時間を費やさなければならなくなります。

ところが
○○億とも言うべき遺産がありながら
僅か1時間で然も1回で相続人全員(5人)から
印を押させた人もいます。

印を押させた人の相続分は
遺産総額の70%弱。

このとき全員分の遺産分割協議書はなく
進行役用(70%持っていった相続人)の
遺産分割協議書が1通あったのみ。
つまり、他の相続人は話すことを耳で
聞くしかなかった訳です。

添付資料には
財産目録もなければ
遺産総額も明示されていない。
加えて口頭での遺産総額の説明もなし。

ただ目先に映る「現金」と言う預貯金。

この預貯金の取り分を
生前贈与分も併せて均等分配するポーズを取る。

問題は「土地」です。

こちらが遺産総額の大半を占めているのです。

通常、遺産分割協議書に記載される「土地」に
関しては

・所在
・地番
・地目
・地積

しか書かれていません。
そうすると土地の値段については
固定資産評価証明書で把握するようになります。

評価の価額は実際に売買するときより
20〜30%低く設定されていますので
土地条件の良い所であれば
極端に買い叩かれることはないと言えます。

土地は管理が大変で邪魔もの。
土地があれば税金がかかる。
土地があっても不況だから売れない。

などと、まことしやかに言われれば
血を分けた兄弟姉妹故、信じてしまいます。
また、各々の土地の固定資産評価証明書
など見せなければわかりません。


「相続」は「争族」とも言われます。
実際には「争族」と書かれた法律用語はありません。

二宮尊徳曰く

・譲って損はなく、奪って得はない。
・心が平でなければ得た富も逃げてゆく。

斯様に申しております。

*守秘義務があります。
*本文は依頼者の承諾を得ています。

相続・告訴告発・離婚・内容証明の専門家

青木法務事務所HP
http://www.aoki-houmu.com/





Posted by 左近法務事務所 at 19:28
Comments(2)
この記事へのコメント
何度か訪問ありがとうございました(^o^)
足跡からこちらへ私も何度か来まして
いつも共感してばかりです☆

“譲って損はなく、奪って得はない”

大抵人は、欲望でこれを逆行させてしまいますよね☆

私は、譲った後、お礼を期待してしまう自分が嫌だな~って最近まで強く思っていました(^_^;)

ある人から
譲った相手からお礼が返ってくるとは限らない☆
世界中周り、別の方からお礼返ってくるほど価値が出てくる☆

みたいなことをお聞きして
最近段々と“余裕”が出て
以前より“幸せ”を感じるようになりました☆

譲って…財産もそうですね☆
本家に嫁いで同居しているので
その問題も他人事ではないです(-_-;
ありがとうございましたm(__)m
Posted by Happy@Idumi  at 2009年04月29日 22:25
Happy@Idumi さん


こんにちは。
ご訪問及びコメント有難うございます。

世の中、大型連休を前に
「浮足だっている?」ようでありまして
わが事務所も多少、手空きです。

連休は日常のしがらみから
離れて思いっきり
羽を伸ばしたほうが
精神衛生上、宜しいようです。

譲れば、必ずその得(徳)
が戻ってきます。

情けは人のためならず
とはよく申したものだと思います。

先人の教えは
生きるための宝庫ですね。

本日は有難うございました。


左近次郎
Posted by 左近法務事務所左近法務事務所  at 2009年04月30日 11:44
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