対話形式の新感覚推理ゲーム。DS「スローンとマクヘールの謎の物語」 | 忍之閻魔帳

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05月21日発売■DS:「スローンとマクヘールの謎の物語」
09月03日発売■DS:「スローンとマクヘールの謎の物語2」

「スローンとマクヘールの謎の物語」は、
「ウミガメのスープ」「地下室の扉」「コインを選ぶ理由」などで知られる
ポール・スローン&デス・マクヘールの倫理パズルを
DSならではの機能を活かしてゲーム化したものである。

文章の中に散りばめられたキーワードを組み合わせて質問文を作り、
出題者(DS)にぶつけながら少しずつ真相に近づいていくもので、
私も12~3年前に、これと似たシステムのカードゲームを遊んだ覚えがある。
(複数の人間で役割を決めてプレイする推理ゲームで、
 キーワードが書かれたカードを組み合わせて出題者にぶつけるというものであった)

「レイトン教授」シリーズのレベルファイブが
レイトンのキャラを抜いて安く上げたんだろう、などと思っていたら大間違い。
ワードを組み合わせるパズル的な楽しさと、DSを出題者に見立てることで生まれた
静かな緊張感、少しずつ核心に近づいていくアドベンチャー的な楽しさが
3つ同時に味わえる、なかなか斬新なソフトに仕上がっている。

あれこれ書いてもピンと来ないと思うので、今回は私が勝手に例題を作ってみた。
解いて行く過程で、「こんなソフトなのか」と雰囲気を掴んでいただければ幸い。

スローンとマクヘールの謎の物語
05月21日発売■DS:「スローンとマクヘールの謎の物語」
09月03日発売■DS:「スローンとマクヘールの謎の物語2」

<例題>

まず最初に、短い文章が表示される。
これが全ての基本となり、気になるワードを抜き出して質問文を作成する。

あるゲームショップで働いているA君には悩みの種がありました。
それは、絶対に売れると信じて大量に発注した
Wii「オプーナ」が未だに売れ残っていることです。
在庫の山を前にどうしたものかと途方に暮れるA君。
見て見ぬフリをしてくれる店長にも申し訳ない気持ちでいっぱいです。
しかし、翌日A君が出勤すると、昨日あったはずの在庫が全てになっていました。
昨日のA君の退社後から今朝までの間に、一体何が起こったのでしょう。


出題文では、選択可能なキーワードは赤字で表示されているので
ここではWii「オプーナ」を選択するとしよう。
すると、Wii「オプーナ」に関連するキーワードがさらに追加表示される。
ここでは以下の5つが追加された。

「人気」「値下げ」「コーエー」「昨日」「かみけもチャンネル」

まずタッチペンで「昨日」を選択し、線が途切れないように「値下げ」まで繋ぐ。

*本当は2つ目、3つ目とキーワードを選択する度に
 さらにそれに関するキーワードが追加されるのだが、
 ここでは敢えて簡略化して説明している。

キーワードを繋ぎ合わせた後、「質問する」を実行すると
「オプーナは昨日値下げされましたか?」という文章が完成する。

出題者であるDSは、プレーヤーからの問いかけに対して
「はい」「いいえ」「関係ありません」「良い質問です」「素晴らしい質問です」など、
まずは音声で回答し、その後文章で補足説明をしてくれる。
今回の質問に対して、DSは以下のように回答した。

【音声】いいえ
【文章】オプーナが値下げされた様子はありません


これで、この質問は真相に近づく為のヒントにならないことが判明した。
その後も同じようにワードを組み合わせてはDSにぶつけ、
反応を見ながら少しずつ謎を解き明かしていく。
ここからは少しテンポアップで進める。

【キーワード選択】「オプーナ」×「かみけもチャンネル」×「口コミ」
【 質問文完成 】「オプーナは『かみけもチャンネル』による口コミで人気が出ましたか?」
【出題者から回答】いいえ。今回の謎とは関係がありません

【キーワード選択】「退社後」×「ゲームショップ」×「泥棒」
【 質問文完成 】「A君の退社後、ショップに泥棒が入ったのでは?」
【出題者から回答】いいえ。泥棒が侵入した形跡はありません。

【キーワード選択】「コーエー」×「襟川会長」×「熱唱」
【 質問文完成 】「コーエーの襟川会長はパーティで「ダイアナ」を熱唱しましたか?」
【出題者から回答】関係ありません。

【キーワード選択】「店長」×「変装」×「ライバル店」
【 質問文完成 】「店長が客を装ってライバル店に売りに行きましたか?」
【出題者から回答】いいえ。近隣のショップに迷惑はかけていないようです

【キーワード選択】「店長」×「在庫の山」×「疲れ」
【 質問文完成 】「毎日在庫の山を眺めていた店長は疲れていましたか?」
【出題者から回答】良い質問です。店長はかなり疲れていたようです。


「良い質問です」「素晴らしい質問です」という反応は、
投げかけた質問がかなり核心をついていることを表している。
「良い質問」を探りあてると、出題文の上に表示されている
鍵付きの空間に「新たなキーワード」が追加される。
この場合「店長」が「疲れた店長」に変化したようだ。

【キーワード選択】「疲れた店長」×「オプーナ」×「投げ売り」
【 質問文完成 】「疲れた店長はオプーナを投げ売りしましたか?」
【出題者から回答】いいえ。980円からは下げていなかったようです。

【キーワード選択】「疲れた店長」×「相談」×「二次問屋」
【 質問文完成 】「疲れた店長は二次問屋に相談を持ち掛けましたか?」
【出題者から回答】素晴らしい質問です。店長は仲の良い二次問屋に電話をしていたようです。


幾度ものやり取りを経てだいたいの推理が固まって来たら、
メニュー画面右下にある「回答する」を選択。
正解していればその問題はクリア、間違っていれば元通り質問を続けることになる。
ちなみに今回の謎の正解は

「疲れた店長が店頭販売を諦めて、二次問屋に捨て値で引き取ってもらった」

今回はスペースの都合もあり、随分と簡略化しているので
あっさり正解に辿り着いたが、実際のソフトではそう簡単には辿り着かない。
散らばったキーワードをあれでもない、これでもないと組み合わせ、
出題者(DS)との対話を続ける作業は、ジグソーパズルを解いているような、
ゲームブックを読んでいるような、何とも言えない楽しさがある。
影絵を効果的に使ったグラフィックや静かなBGMも、
大人がこっそり楽しめる本作の雰囲気と上手くマッチしており、
「レイトン」のような派手な演出や豪華キャストはいないものの、
プロモーション次第ではそこそこ健闘するのではないかと思う。
1問あたりに時間がかかることもあり、
「レイトン」や「頭の体操」ほど収録問題数は多くないらしいが
「20~30問ということはない」とだけ教えていただいたので
税込み3500円という低価格を考えれば、コストパフォーマンスは充分と見た。

「ウミガメのスープ」と聞いてピンと来る方はもちろん、
これまでとは少し違ったアドベンチャーを楽しみたいという方や
サウンドノベルファンなどにも幅広くお勧めできる良作だ。

【関連商品】


■DS:「多湖輝の頭の体操 第1集 謎解き世界一周旅行」
■DS:「多湖輝の頭の体操 第2集 銀河横断謎解きアドベンチャー」

6月18日に2本同時発売される「頭の体操」シリーズ2本。
シリーズ開始から40年もの歴史を持つ大ベストセラー「多湖輝の頭の体操」を
DS化したもので、各巻ごとに約400問の問題を収録。
全4巻で書籍版23巻分(全巻)のボリュームに匹敵するとのこと。


■Book:「ポール・スローンのウミガメのスープ 水平思考推理ゲーム (1)」
■Book:「ポール・スローンの腕を送る男 水平思考推理ゲーム(2)」
■Book:「ポール・スローンの札束を焼く強盗 水平思考推理ゲーム(3)」
■Book:「ポール・スローンの借金をふみ倒せ 水平思考推理ゲーム(4)」

本作の元となった書籍4冊。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:スローンとマクヘールの謎の物語
  メーカー:レベルファイブ
   ハード:DS
   発売日:2009年5月21日
    価格:3,500円(税込み)
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