DS版の「A列車で行こう」が神ゲーすぎて狂ってる件 | C.I.L.

DS版の「A列車で行こう」が神ゲーすぎて狂ってる件

A列車で行こうシリーズの最新作 「A列車で行こうDS」が発売された。

オレのA列車歴は激しく微妙で、大昔にログインの特集記事を片手にPC時代の初期作品をちょこっと弄ったり、プレステで出た4が面白くてチマチマ遊んでた程度の思い出しかない。他の据え置きハードのは何故かどれもイマイチ楽しめず、あれこれと軽く手はつけるものの、すぐに飽きてしまったのである。

挙句に 「きっとシンプルバージョンだから気楽に遊べるはず!」 と、勢い余って携帯アプリ版を落としてしまって激しく涙目になった記憶も。あのもっさり感といい、「リアルタイムか!」 と怒鳴りたくなるほどのゲーム展開の遅さといい、いくらシンプルとはいえ余りにやれる事がなさ過ぎる内容といい、数百円ぽっちの出費とはいえ軽くトラウマ。

そんなオレ様が、なぜか妙に気になってDS版に手を出してしまったわけだが


なんかすげー神ゲーなんですけど


これちょっと、いや、かなり凄くない?本当にDSなのか?どんな魔法を使ったんだ?過去にDSで出た全てのシミュレーションゲームの中でも最高の完成度じゃないか?

と、「社員乙」 の一言でスルーされそうなほど褒めちぎりたくなる。それくらいオレがA列車に求める物の全てが詰まってやがる。(マネージメント要素が強いので鉄道マニアからすると不満かもしれんが)

初期の頃を除けば、A列車に手を出すたびに 「あ~あ」 とか 「な~んかしっくりこないな~」 と感じていたのに、まさか容量に大きな制限のあるDSでこれほどの鉄道・箱庭・経営シミュレーションゲームが遊べるとは思わなかった。

というわけで、まだまだ序盤のチュートリアル面しか遊んでないけれども、このDS版A列車がいかに素晴らしいか語ってみようと思い至ったわけでございます。



・操作感の良さ
基本的に全ての操作をタッチペンで行うんだが、最初こそ 「え~?」 と思ったものの、慣れてみるとこれが実に遊び易い。線路を引くとか、範囲を指定するといった作業が、オレが過去に遊んだA列車シリーズの中で一番やり易いんじゃないかと思うほど。またコマンドタブを開く操作もレスポンスが良く、頻繁に使用するコマンドは十字キーやボタン(ショートカット) を併用できるので、ストレスを感じず思った事がすぐ実行できる。

難を言えば、画面をスクロールさせる際にタッチペンをマウス的に使いたかったが、残念ながらその機能はないようだ。(でも十字キーで画面を送るだけでもそこまで大きな不満は感じない)


・軽快さと滑らかさ
やはり携帯機だけあって、さくさく進んでくれないとフラストレーションが溜まりまくりだと思うんだが、A列車で行こうDSは実に滑らかに、そしてスイスイ動く。カクカクしたりもっさりしたりで 「ムキー!」 ってのが殆どない。だからこそ止め時がわからず、エンドレスでダラダラ遊んでしまう悪魔のような軽快さである。さらにデータの書き込みや読み込みが据え置き機に比べてかなり早い。快適さで言ったら過去作の中で最高なんじゃないだろうか?
※ただしまだ序盤の話なので、後半の大都市になった時にどうかは未確認


・素晴らしい親切設計と初心者ウェルカムなチュートリアル
思わず 「ほほぅ!」 と唸ってしまったのがこれ。最初はチュートリアル面を遊びつつ、やれる事が少しずつ増えてく感じなんだけど、そのレベルアップの仕方がツボを心得ててステキ。最初は駅を作って、線路を引いて、鉄道を走らせて、ダイヤを設定するという単純な操作しか出来ないんだが、すぐにコマンドが増えて行き、その都度サポートキャラが 「これをこうするとこうなります。こういう応用も出来ます。」 と、初心者でもコマンドの意味と使いどころが理解できるように説明してくれる。チュートリアルが親切すぎると、ゲームの進行を止められてわずらわしかったりするものなんだが、このゲームに関してはそれはあてはまらない。これなら全くの初心者でもすんなりと入り込めるんじゃないだろうか?


・程よい難易度と侮れない深み
チュートリアルの1面は旅客鉄道だけ管理してればいいので単純で簡単なんだが、2面に入ると 「貨物列車を走らせて資材管理しましょう。」 → 「鉄道だけじゃなく道路も引きましょう」 → 「道路に停留所を作ってバスや資材運搬用のトラックを走らせましょう。」 → 「バスやトラックにも運行設定しましょう。」 と、いきなりやらなきゃならない事が増えて実戦モードに突入。その度に頭を抱えながら必死にコツを掴んで行くわけだが、ぶっちゃけこの2面でリセットボタンに手が伸びた。チュートリアルだからと甘く考えて鉄道と道路をひきまくって 「ボクの考えた最強の~~」 とかなんとかやってたら収集つかなくなってつんだw

しかし何度かやり直しながら資材の売買で儲けを出す方法や、鉄道や道路網を活用して人と資材を行き渡らせ、思った通りに街を発展させて行くコツを身に付け、何とか指示された目標を達成。この達成感を得るまでの流れが実に絶妙である。さらに面が進むと株弄りだの子会社の管理運営だのといったマネージメント要素や、地下の概念(地下鉄以外にも地下に資材置き場を設置したり地下街ができたり……) が出て来てより一層複雑になるのだが、その頃にはリアル経験値が溜まってるのでそれほど混乱はせず。出来る限り敷居を下げてはいるものの、決して難易度を極端に下げてるわけではないという、この辺のバランス調整が実に素晴らしい。


・携帯機ならではのプレイスタイルの自由さ
携帯機であるという点と、操作感の良さと軽快さのお陰で、空いた時間に軽く触るだけとか、熱中のあまり外が明るくなってたとか(今のオレ)、プレイヤーそれぞれのスタイルに合わせたプレイが可能。さらに蓋を閉じたスリープ状態の時に、ゲームの進行を止めるか進めるかが選べるので、暇が出来た時にちょこちょこっと弄って、後は蓋を閉じて時間を進めておき、また暇が出来た時にプレイ再開といった遊び方もできる。さらにスリープ状態でゲームを進める際に、時間を流れっぱなしにするとか、もしくは指定した時間(○月○日とか) になったら一時停止させるといった指示も出せるので、これによってスリープ中に大ポカをやらかして手詰まりになる危険を回避できるようになっている。


・神懸かりすぎな車窓モード
一番ビックリしたのがこれ。A列車のウリといえば、自分が走らせている電車の中からの景色が楽しめる車窓モードじゃないかと思うんだが、それがこのDS版にもしっかり実装されていやがるのだ。PS以降の据え置き機に比べたらスーファミレベルの絵ではあるんだが、それでも通常の電車の中からの景色はおろか、マップの中を自由に歩き回れたり、街の中の好きな場所から360度辺りを見渡せたり、カメラを定点にしてみたり、ランダムであちこち映したりと、自由な角度で自分の作った箱庭を眺めて楽しめるのである。なんでDSでここまで鑑賞に堪え得る3Dモードを実現できたのか不思議でしょうがない。ぶっちゃけこのモードを眺めてるだけでも本気で楽しい。(噂によると地下鉄にカメラを合わせても雰囲気があってステキらしいぞ)


・細かいこだわり
駅名や路線名を自由に付けられるだけでもグっと来るんだが、何気なくタッチペンでマップの中をあちこちツンツンしてて驚いた。なんとDSだっつうのに1マスごとに町名から番地まで細かく設定されており、「○○町2-3-5」 といった具合に一々画面に表示されるのである。それに人口が増えて発展すると、村が町になって地名が変わったりする力の入れよう。その際はちゃんと 「○○村が○○町になりました」 とアナウンスが出るという要素もあり。そんでもって細かく設定されているのは地名だけではなく、新しく駅を作った際に、その住所に合わせて自動的に駅名(及び停留所名) が付けられるのだ。例えば板橋町という地名があったとして、その中央部に駅を作ると板橋駅に、北部に駅を作ると北板橋駅にといった感じ。これだけでも素晴らしいんだが、付いた名前が気に入らなければ、後で自分の好きな名称に変える事も可能。したがって、板橋区中を環状運転する謎の東武東上線とかだって自由に作れてしまうと。(板橋から離れろよ)
※ただし地名自体を自由に変えられるのかはまだ未確認

また貨物列車は押すのと引くのとでスピードが違う(引っ張って走る方が速い) とか、電車やバスやトラックが "発車→加速→ちょっと減速→さらに減速→停車→発車" といった自然な挙動を見せたりとか、用意されてるBGMがさりげなく多かったりとか、一々挙げてたらキリがないほどあっちもこっちもセンスと心遣いで満ちている。しかも後述する開発者インタビューによると、あえて街の発展を止めたりもできるらしい。A列車ってゲームが進むと結局どのマップも高層ビル群になってしまうんだけど、それを任意で 「こっからこの範囲は勝手に建物作っちゃだめよー」 と指示ができるそうな。これによって寂れた田舎を走る単線とか、ひなびた温泉街とかも作れる(維持できる) と。おいおいどこまで至れり尽くせりなんだこれ。


・総括
あまりA列車シリーズをやり込んでないオレが言うのもなんだが、過去に触った事のある3~4作品くらいの中で、圧倒的に 【遊び易い+理解し易い+上達し易い=すごく楽しい】 と感じる。こういった移植作品って、DSだから簡略化させないといけないという意識ばかり強くなってしまい、結果として面白味のないスカスカ劣化版みたいなノリになりがちなんだけれども、A列車で行こうDSに関してはむしろ堂々たるシリーズ最新作として進化している。唯一グラフィックだけはどうにもならない弱点なんだが、「ゲームとはなんぞや?」 という根幹の部分においては、これまでのシリーズ作品と比較しても全く遜色がないどころか、むしろ優れている点の方が多いのだ。

今回のDS版は、昔のA列車のイメージしかない人にこそ遊んで欲しいなあ。もしかすると線路を引いて鉄道を走らせるだけで、都市開発やマネージメント要素はオマケ程度だと思われてるんじゃないかと不安になってしまう。今回に限っていえば、都市開発・交通網整備・マネージメントがどれもこれも大きなウェイトを占めてて、それぞれかなり自由度が高い。それも超親切設計で、かつ超複雑な事も出来てしまうというユーザーフレンドリーさがたまらない。だから鉄道ゲームとしてよりも、総合的な箱庭シミュレーションとして評価される出来栄えなんじゃなかろうか?(というか、DSってここまで詰め込めるハードだったの?)


で、A列車マニアの方には是非とも下のインタビュー記事を読んでもらいたい。これを読めば、DS版のどこがどう優れているのかより理解してもらえるはず。


【開発者インタビュー】ゲームの魅力を徹底解剖!『A列車で行こうDS』ディレクターに聞きました

ついに『A列車で行こうDS』が発売された。初めての携帯ゲーム機版であり、14年ぶりにバスとトラックの要素が復活。さらに新要素がいくつも追加されるなど、A列車ファンの期待も高まっている。そこで、『A列車で行こうDS』ディレクターである飯塚正樹氏に、新作の魅力を伺った。飯塚氏はA列車シリーズの出世作『A列車で行こう3』のPCエンジン版でプログラミングを担当され、その後、プレイステーション版の『A4レボリューション』のディレクションを担当した。他の主な代表作には「カルネージハート」シリーズがある。

(あとはリンク先で読んでね)

このインタビューを読んでて気付いたんだが、今回はA4のディレクターが再起用されてるのか。なるほど。っていうかカルネージハート。カルネージハート!(大事なことなので2回ry)

なるほど!(何がだよ)

それにしても、インタビューの内容を読めば読むほど 「分かってる人が真剣に作るとこういうゲームになるんだよなあ。」 という感想が持てる。やっぱこういうディレクターがいるといないとじゃ大違いだよねえ。

しっかしチュートリアル面序盤でひぃひぃ言ってるオレじゃ手が届かないような要素が山ほど詰め込まれてるのねー。なんだよ社員旅行とか紅葉観光ツアーってw

それにオリジナルの車両(列車・バス) を開発するって他のシリーズにあったっけ?これまでのA列車って実在の車両を選んで走らせるゲームだったよね?(その代わり今回は実車がない)


いやー、とにかくDSとは思えない盛りだくさんぷりで、オレをこれ以上ニートにさせてどうするつもりなんだろうか?オレ様フリーで仕事をしているから積極的に営業回りしなきゃいけないのに!(しようよ)

もしDSで長くダラダラ遊べるゲームを探している人がいたら、このA列車で行こうDSを選択肢に入れてみるといいかもしれない。

チュートリアルの親切さから入門編としてもバッチリだし、内容の濃さも充分なので深くやり込むにももってこい。

DSでA列車という時点ではそれほど期待していなかったんだけど、これはほんとに意外な伏兵だった。さすがにクソゲーとは思わなかったけど、かといってここまで神ゲーだとは思いもよらなかった。

言ってみれば、制約の中で最大限の表現をしてやろうと戦ってた "80年代のゲーム職人" の臭いを感じさせてくれる作品である。



■参考リンク
A列車で行こうDS

オフィシャルサイト
攻略wiki
我が街紹介wiki
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DS版の「A列車で行こう」がクソゲーすぎて終わってる件 ※アメブロ検閲回避 再アップ版