湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆エルガー:交響曲第2番

2018年02月19日 | イギリス
○作曲家指揮ロイヤル・アルバートホール管弦楽団(HMV/PEARL)1925/4/16・CD

自作自演の旧録。録音指揮に情熱を傾けたエルガーは結果として同時代のオーケストラ録音の代表者のような存在となり、ストコにも似た編成の録音用改変からマイク配置の試行錯誤などさまざまなことによって自分の理想に近い(といってもやはりこの時代のテクノロジーだから妥協はあるだろうけれども)形を残している、かなり信用のおけるものとして、ショルティやプレヴィンなど、新旧両方の解釈表現を分析し自己の演奏に取り入れたことで有名である。旧録(更にはpearlの板起こし)ならではの雑音の多さや音像の不明瞭さが気になることは気になるが、エルガーが極端に編成を小さくし、特にヴァイオリンなど2プルトくらいしかいないんじゃないかというくらいで貧弱な録音に収まる程度の音響バランスを保とうとしている様子がよくわかり、時代なりのロマンティックな奏法を肯定しながらも非常に速いテンポを維持し、フレージングや音色で纏綿さを出していく(録音の都合もあるだろうが)割とトスカニーニ的な表現手法に近いものを持っていたことがよくわかる。旋律に重点を置き、書法上目立たない楽器に対旋律を受け持たせている場合でも他の楽器を極端に落としてしっかり対旋律として認識させるように歌わせる、単なるメロディ追いではない自作ならではの知り尽くした表現が聴かれるのもいい。オケは正直弱くバラバラになる箇所もあり、それはエルガーがソリスティックな細かい音符を織り込んだメロディや効果音的挿句を多用することからくる無理が追い討ちをかけているのだろうが、編成が小さいだけあって弦楽器では「個人技で」カバーして聴けるものとなっている(これが大編成では十六分音符まで纏めることは不可能に近いだろう)。

いずれこれが再度復刻されないのは不可解ではある。pearl自体が創業者の死去により自然消滅し版元pavillionにも在庫がない状態。ボックスで高価だったゆえ、長らく渋谷HMV(現パチンコ屋の場所)の店頭で埃を被っていて、いつか買おうと思っていたらいつの間にか消えていた。やっと手にすることができたわけだけど、これにしか復刻されていないアコースティック~電気録音が入っており、奇妙なSP復刻を繰り返すNAXOSあたり不意に出して復権させて欲しいものだけれども。○。

EMIが繰り返しCD化している新録を含むボックスはこちら。

エルガー・ボックス/エドワード・エルガー、ロンドン交響楽団、他

しかし記念ボックスを買うほどではないかたが大半だと思うので、

Elgar Conducts Elgar - Symphony No.2 Op.63, Cello Concerto Op.85 / Edward Elgar, LSO, etc

珍しい「コケイン」の位相の違う同一演奏2録音をステレオ整形したものがボーナス収録された代表作集
Elgar Conducts Elgar - Cockaigne Overture; Enigma Variations; Pomp and Circumstance Marches/ Edward Elgar

※2009-05-07 09:00:03の記事です

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