#june29jp

第1回ソーシャルブックマーク研究会に参加してきた!

2008-07-14

2008年7月12日(土),第1回ソーシャルブックマーク研究会に参加してきました!会場は東京工業大学大岡山キャンパス.当時修士1年生だったボクが,初めて学外で自分の研究を発表した場所です.久しぶりに訪れたキャンパスにちょっとドキドキ.

今回のイベント用に作った簡易名札!
SBM研究会用名札

全体の感想

「ソーシャルブックマーク」というひとつのテーマに対して,サービスを提供する人,毎日の中で使う人,研究対象とする人,ビジネスに発展させようとする人,様々な人たちが集まっていたイベント.このような雰囲気のイベントって珍しい!これまで研究者が集まる学会・研究会とか,技術者が集まる勉強会とか,いくつか参加させてもらってきたけれど,これまでのどのイベントとも違う空気が新鮮で面白かった!学会・研究会でお世話になっている人がいたり,ボクの修士論文で参考文献に掲載させてもらった @yanbe さんがいたり,先日マイネット・ジャパンに遊びに行ったときにお会いした newsing の中の人がいたり,楽しかったなぁ.業界は狭い!

今回は研究寄りの話が多かったかなー.サービス提供側の人たちは「じゃあ,たくさん集まったデータをどう扱おう」「どうやったらここから面白いものが出せるか」と少なからず考えておられるようで,Web 好きな研究者の人たちから見ても,ソーシャルブックマークに蓄積されたデータってのはとても魅力的に感じられる.今や,データベース連携する Web アプリなんてのは,スケーリングや運用の話をひとまず置いておけば個人レベルで週末に作れちゃうものになっていて,企業がサービスとして提供する上ではそれ以上のことが求められているのかもしれない.

WWW2008 の論文なんかをざっと見てみると,Google や Yahoo! からデータ提供を受けて新しい手法を試してみました,って話が非常に多い.そして上手いこと芽が出たものはパックンチョされちゃう.研究者もガンバって成果を出せばそういった魅力的なデータを抱える企業に入れちゃうから,当然モチベーションも上がるんだろうな.シリコンバレーやその周辺全体で上手い仕組みが出来上がっているのだとしたら,そりゃあ底力があるわけだ.

日本はこの辺り,どうだろう.「はてなブックマークのデータを使って○○○」って論文はけっこうあるけど,どうやってデータを集めているかっていうと,プログラムによるクローリングだ.集めるのが大変ってのもあるし,何よりサービスに負荷を掛けちゃっているし,なかなか悩ましいところ.上手く連携して何か面白いことができないだろうか.ボクが知らないだけですでにそういった事例もあるのかもしれない.知っていたら教えてほしい.コンペとかどうだろうね.データセットを公開して「これで面白い物を作ってみてください!」とか.

「私がチャレンジしたSBMデータマイニング」というタイトルで発表されていた @ryo_grid さんが,自分が行った解析を紹介しながら「なんでこんな簡単なことをはてなさんがやらないのか」と疑問を投げかけられていて,とても面白かった.そのあとで「きっと,かけるコストにリターンが見合わないからでしょう」と付け加えていた.ボクも1人のユーザとしては,新しい機能や新しい体験を求めたいところ.今はネガティブコメント対策とか,マイナスをゼロにするお仕事にリソースを割かれているように見えて悲しい.はてなさんはゼロからプラスを生み出すのが得意な会社だと思っていますので,そっちに期待しています!リソースが足りないなら面白そうな学生を連れてきてでも何とか!はてな大好き!はてなTシャツ欲しかった!

Web サービスだけじゃなくて,人々のスキルもマッシュアップできたらいいよね!得意な人が得意なことをやるのがいいよ!

データ等の連携については考えていることがあるので,エントリを改めて書く.ここでは一旦おしまい.

ソーシャルブックマークの母集団

社内ソーシャルブックマークの話がとても面白かった!ある組織への導入事例が紹介されていて,社内ソーシャルブックマークは概ね「有用」だそうな.実際の数値入りでアンケート結果を見せられると,気付くことがあるなぁ.

ここでひとつ「母集団」の話をしたい.

これらはすべて「母集団」というキーワードで語ることができる.とある企業や研究室に属する集団というのは,ランダムに選び出した人から成る集団よりも,興味が似ていると考えられる.なので,その集団に属するメンバーがブックマークするものは,他のメンバーにとっても有用である可能性が高い.逆に,母集団が膨らんで特定の共通する興味が薄まっていくと,そこに集まる情報も各個人にとっては薄く感じられるようになる.お気に入り機能は,まさに自分にとっての母集団を作り出す行為だ.

つまり,ソーシャルブックマークは,母集団をどのように設定するかによって,見え方が大きく変わってくるということ.ここに次の発展の可能性を感じる.最適な母集団発見のための何かがあればいい.それはアルゴリズムによって得られるのか,ユーザコミュニティによってもたらされるのかは分からないけれど,楽しいことが起こりそうな予感でワクワクします.

第2回も楽しみです!

懇親会では,早速,第2回開催のアナウンスがなされていました.素晴らしい盛り上がりですね!ソーシャルブックマークがちょうどいい時期にきているんだろうな.これが「ブログ研究会」だったら,それこそ母集団が大きすぎて,話が発散していたんじゃないかな.良くも悪くもソーシャルブックマークはまだまだ認知度が低くて,だからこそ濃い話ができるんだと思った.マイノリティ故の結束ってのは,この間参加した高専カンファレンスでもキーワードになっていたな.

今回,参加者の一部から,「研究寄りの話が多くて,ユーザサイドの話がなかったねー」との声が上がっていたので,次回は,セッション制にしてみたらどうでしょう.少なくとも「研究者から見たソーシャルブックマーク」と「ユーザから見たソーシャルブックマーク」では全然見え方が違いますよね.お互いがお互いの話を聞いて得られるものもあると思うので,なんとか,みんなが幸せになる形で開催できると継続できたら素晴らしいと思います!

第1回ソーシャルブックマーク研究会,とても楽しく参加させていただきました!発表者の皆さんお疲れさまでした!運営の皆さんありがとうございました!

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