楽天三木谷社長、太陽光参入へ意欲 孫社長との違いは?
楽天の三木谷浩史社長は4日、家庭用太陽光発電システム市場に参入する意向を明らかにした。ローンなどの金融サービスと設置サービスを含めたパッケージ商品にして販売する計画で、現在の市場価格の「半額から3分の1の低価格を目指す」(三木谷社長)という。ネット企業が相次いで再生可能エネルギーに目を向け始めた。
「僕らは巨大なものをやるんじゃなくて、各家庭に太陽光パネルを普及させる仕事を大がかりに仕掛けていく。でかいものじゃなく、草の根で各家庭から。孫(正義ソフトバンク社長)さんとの違いで言えば、それが楽天流ですね。伝送効率を考えても、その方がいいでしょ。社会貢献の意味でも、各家庭にばんばんインストールしていく」
4日の決算発表会見後、再生可能エネルギーについて質問すると、三木谷社長はおもむろにそう語った。まずは自らと、今夏、神戸の実家に太陽光発電システムを導入した。三木谷社長が父親に「いくらかかったの?」と聞くと、「300万円」との答え。「もっと安くできるでしょ」。そう確信したという。
ネット企業の双へきが真逆から
家庭用太陽パネルの相場は出力1キロワットあたり50万~60万円程度。標準的な家庭では3キロ~4キロワットの発電能力が必要で、蓄電池や設置費用などを加えると、総費用は数百万円に達する。補助金を考慮しても一般家庭にはまだまだハードルが高い。三木谷社長は、各家庭の初期投資が100万円以下となることを目標に、これからパッケージ商品の詳細を詰めるとしている。
楽天の会員はグループで約7200万人。2011年4~6月期決算は、消費者金融事業の売却などで特別損失が膨らみ、413億円の最終赤字となったが、売上高と経常利益は過去最高を記録。物販の楽天市場では4~6月期としては初めて購入者が1000万人を超えた。三木谷社長は、「ようやく日本でもeコマースが浸透したと言える。楽天のブランド力と巨大な会員組織を利用すれば、(低コスト化は)できると思っている」と話す。
年内にプロジェクトチームを立ち上げるよう指示するという三木谷社長。近く米シリコンバレーで夏期休暇を過ごしながら、楽天流の再生可能エネルギー事業について、思いをめぐらせる予定という。
全国の自治体と組み、上流から再生可能エネルギーの普及を目指すソフトバンクはまず、北海道帯広市内に大規模太陽光発電所(メガソーラー)実験プラントを建設し、年内に稼働させる計画だ。対して、下流からの普及をもくろむ楽天。日本を代表するネット企業の双へきが、真逆のアプローチで挑戦する。
(電子報道部 井上理)