日本オラクルは2011年3月10日、中堅企業向けERP(統合基幹業務システム)パッケージ「JD Edwards EnterpriseOne(E-One)」に、アパレル業界向けに特化した機能を加えた「JD Edwards EnterpriseOne Apparel Management(Apparel Management)」を提供すると発表した。スタイルやサイズ、色など属性が多いアパレル商品向けに管理用の項目を設定できるようにしたほか、コレクションから始まる独特の受注方式を支援する機能などを追加したことが特徴だ。

 Apparel Managementは、会計、受注、在庫、製造、調達/外注、倉庫/輸送管理といった「アパレル業のサプライチェーン全体をカバーする」(アプリケーション事業統括本部 ビジネス推進本部の野田由佳ディレクター)ERPパッケージだ。JD Edwards E-Oneに、「フランスのITベンダーが開発していたアパレル業向けのテンプレートを標準機能として取り込んだ」(同)。

 新たにアパレル向けに追加した主な機能は、(1)スタイル品目管理、(2)コレクション管理、(3)価格管理だ。(1)は一つの商品に対して10階層まで属性を設定できるようにした。親のコードが「紳士用ジャケット」であればパターン、素材、色、サイズ、丈、「靴」であれば、スタイル、生地、色、サイズ、幅といった情報をユーザー企業が自由に付加できる。

 (2)は、新商品などを発表するコレクションで展示した商品情報の管理を支援する機能。アパレルではコレクションで商品を発表し、取引先からの仮受注を受け、生産に入る業務の流れが一般的という。「デザイナー」や「商品」といった項目をコレクション単位で5階層まで管理できる。コレクション管理機能を利用すると、コレクション後の仮受注や生産計画などをコレクションごとに見られるメリットがあるという。

 (3)は海外展開するアパレル向けに為替レートの設定や変換といった機能を提供する。ドルから円に変換する場合、為替レートを設定すれば一括変換できる。一括変換する際に「1899円」など端数が出た場合、四捨五入したり、価格を「1890円」などに丸めたりする機能も提供する。どのような規則で価格を丸めるかはユーザー企業が設定できる。

 価格は売上高250億円以下の企業が10ユーザーで導入する場合、JD Edwards E-Oneのライセンス費用も含めて約1300万円。会計、受注管理、在庫管理、製造管理、所要量計画、購買管理、システム基盤とアパレル管理が含まれる。野田ディレクターは「アパレルに加えて、多品種少量生産の業種にもApparel Managementを販売していきたい」と話す。