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選手と審判が「中途半端な位置」を奪い合う現代サッカー

編集委員 武智幸徳

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このところ、サッカーの試合を見ていて気になることがある。こういう表現をするとジャッジの仕事に精勤されている主審の方々に申し訳ないのだが、その存在が「いなければいいのに」と思えることがあるのだ。

審判不要と言っているわけではない

誤解される前に書いておくと、私はサッカーの試合に審判は不要だと主張したいわけではない。審判を置かずに選手同士のセルフジャッジですべての事が運んだら素晴らしいとは思うけれど、何かと世知辛い競技スポーツではユートピアを夢想するようなものだろう。

審判を無くすどころか、時代はむしろ増やす方向へ向かっている。欧州最強のクラブを決めるチャンピオンズリーグ(CL)は今季から審判が3人から5人(主審1人、副審2人、ゴール判定員2人)に増員された。ひとえにミスジャッジを減らすためである。

私が審判(ほとんどが主審)を「いなければいいのに」と思うのは、まさに"物体"として選手のプレーを阻害している時だ。そういう機会が昔に比べて増えたような気がする。

審判は「石ころと同じ」

野球の世界では審判はよく「石ころと同じ」と言われる。審判に当たった打球が変な方向に転がっても石ころに当たったのと同じだから、それをもって判定が覆ることはない。

サッカーもその点は同じだ。日本代表の内田篤人が所属するドイツのシャルケとスペインのバレンシアが戦った9日の欧州CL決勝トーナメント1回戦で、バレンシアのホアキンが放ったシュートが目の前の主審に当たってコースが変わるというシーンがあった。

もし主審がいなかったら、この一撃、しっかりゴールの枠に収まっていたように見えたが、不利益を被っても救済措置はない。まさに石ころに当たったのと同じだからである。

これなどは相当珍しい例だが、主審がパスコースを消したり、パスの送り先であるスペースを埋めてしまうケースは割と頻繁に起こっている。

パスコースに審判が…

パスを受けた選手が逆方向にターンしてパスを出そうとした瞬間、そのコース線上に主審が立っていて出そうにも出せないとか、スペースにパスを送り込んで味方を走らせようとしたら、そのスペースに先に審判が入っていて使うに使えないとか、そういうシーンが目に付くのである。

なぜ、こういう現象が増えているのか。おそらくそれはサッカーのスタイルの変化と関係があるのだろう。

最近、パスの受け場所に関して解説者たちがよく口にする言葉がある。

アテネ五輪代表監督だった山本昌邦さんなら「三角形の重心」。同じことを「中途半端な位置」というJリーグの監督もいるし「ゾーンの切れ目」と表する人もいる。どれも表現の仕方は違うけれど、ほぼ同じことを表しているようである。

ゾーン・ディフェンスが主流

現代のサッカーはゾーン・ディフェンスが主流だ。DF、MF、FWの3つのラインに属する選手たちが前後左右、適切な距離を保ちながら緊密な守備の網を張る。張る位置は相手との力関係によって自陣深くの時もあれば相手陣内に深く入り込んで張る時もある。

変わらないのはとにかく密度を高くすること。抜かれた味方のカバーリングに走る、味方がボールを取れそうになったら加勢に駆けつける、いずれの場合も選手同士の距離が離れすぎていては間に合わない。

距離を詰めておくことで、守備に連動性と連続性が生まれる。

戦う相手も同じように守ってくると、試合は鏡の中の自分と戦うような感じになる。ちょっとでもボール処理にもたつくと、あっという間に囲まれてしまうから、どちらかが先に疲れて陣形が間延びするまで膠着(こうちゃく)することも珍しくない。

針の穴を通すようなパスが必要

そういう中でもパスを回そうとしたら、正確なワンタッチコントロールや針の穴を通すようなパス、素早い判断などが求められる。それを今、完全に近い形でチームとしてやり遂げているのが、スペインのFCバルセロナである。

バルセロナの選手はパスを受ける位置を微妙にずらしてくる。A、B、Cという3人が守っているゾーンがあるとしたら、その3人が作る三角形の重心でパスを受ける。そこはA、B、Cの誰に対してもイーブンな地点なので一瞬、誰がマークに行くべきか迷う地点でもある(それゆえに中途半端な位置、ゾーンの切れ目ともいわれる)。

その一瞬が命取りになるのがサッカーで、攻め手が次々にピッチ上のゾーンの切れ目に入りながらパスをつなげば、ボールは遅滞なく回るわけである。

「中途半端な位置」を求めて

バルサの成功に刺激を受けたのだろう。パスサッカーを志向するチームは懸命に「中途半端な位置」を取り合おうとする。ところが、その中途半端な位置を取ろうとするのは、両チームのフィールドプレーヤーだけではないのである。主審もそのうちの一人なのだ。

主審は選手に寄り添いすぎるとプレーの邪魔になると心得ている。しかし、離れすぎると今度は反則かどうか見抜けなくなる。そこで、近づきすぎず離れすぎず、プレーにも干渉しない、イーブンな地点を求めて常に動くことになる。

その主審の等距離感覚と、高密度化したピッチで最適なパスの受け場所を探す選手に求められる資質が、おそらく今、極めて接近しているのだろう。

その結果、時に審判が立つ位置が絶好のパスの受け場所になり、私には"邪魔をしているように"見えてしまうのではないだろうか。

主審からよくプレーが見える位置とは、実は選手も使いたい場所なのである。両チームの選手が入り乱れて接近戦を展開するのが常態化した今では、パスの受け場所を主審がつぶすケースもおのずと増えているのだろう。

対策は思い浮かばないが…

その対策として思い浮かぶことはあまりない。いっそのことサッカーを10人対10人でやれば、"人口密度"が下がってスペースが生まれ、主審も邪魔にはならないとは思うけれど、主審が邪魔だから10人でやる、というのは本末転倒だろう。

それに、バルサの試合を見ていると主審を邪魔だと思うことは実は少ない。どれだけ接近戦をやっても、しっかり複数のパスコースをつくっているからだろう。

そんな視点から見てもバルサはやはりすごいと思ってしまうのである。

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