中国、鉄道事故「信号の欠陥 原因」 人為ミスも認める
温首相、午後にも記者会見
【上海=戸田敬久】中国東部の浙江省温州市で発生した高速鉄道の衝突・脱線事故で28日午前、安路生・上海鉄道局長は「温州南駅の信号の重大欠陥が事故の原因になった」とする調査結果を公表した。中国国務院(政府)の事故調査チームが28日午前に温州で開いた初会合で明らかにした。温州入りした温家宝首相は同日午後にも、国内外のメディアを招いた記者会見を開催する。
国営新華社通信によると、安局長は「信号が本来は(運行停止の)赤のはずが(運行可能な)緑に表示されていた」と指摘。信号の誤表示により、先発車両が停止しているのにもかかわらず、後発車両がそのまま走行し衝突した可能性がある。
さらに局長は「指示を出す人が、信号の誤りを警告しなかったことも事故につながった」と人為ミスを認めた。鉄道省は「落雷による設備故障が原因」とし、事故の原因について具体的な言及を避けてきた。
中国メディアは27日、緊急停止していた先発車両の運転士が「指示を受けて停車した」と乗客に話したと報道していた。鉄道省の説明不足に対し、ネット上では事故原因の隠蔽ではないかとの疑念が高まっていた。
批判の高まりに対し、中国指導部も動かざるを得なくなった形だ。温首相は事故現場を視察し、犠牲者家族を慰問する。さらに記者会見を開くが、政府首脳が事故・災害現場で会見を開くのは極めて異例。温首相は事故調査の透明性を高めるように指示していた。
事故調査チームには、重大事故の原因究明を指揮する国家安全生産監督管理総局のほか、鉄道省、浙江省、最高人民検察院などが参加している。9月中旬に最終報告をまとめる。