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目も頭も48個分あるわけではない

2008年10月13日

  • 筆者 小原篤

写真ああ新番組がたまっていく…(これは我が家のレコーダーの録画済み番組一覧画面。もちろんCellテレビじゃありません)画像アニメ「地獄少女」第1シリーズDVD第5巻(アニプレックス) 地獄少女・閻魔あいがあなたの恨みを晴らします画像「かんなぎ」原作マンガ第1巻(武梨えり作、一迅社) 木彫りの像から現れた女神と同居生活?!

 またしても秋の新番組シーズンがやってまいりました。番組表を開くと、あっちにもこっちにもアニメがダンゴ状態でひしめいています。「しんばんぐみ…しんばんぐみ…」とつぶやきながら、ハードディスクに録って見て消して録って見て消して、の日々が続きます。

 今年4月の本欄「酔いどれアニメ詩人になるまえに」で書いた通り、ノート片手のグダグダ酔いどれ視聴。放映第1回をチェックしたのはまだ今期の新番組の3分の1ほどですが、ちょいとその酔っぱらいメモをのぞいてみましょう。

 「この番組の女の子はパンツを見せないと登場資格がないらしい」「ラオウも敵ボスも筋肉が角ばりすぎて岩みたい」「肩がぶつかった、と不良がからんでくるのが真っ昼間の田園調布駅前っていうのが新鮮」「いじめられっ子少年に空からハダカのねえちゃんがロボットと落ちてくる 胸に手をムギュッ『一緒に戦ってくれますか』 何もかも丸出しって感じ」……やっぱりロクなことは書いていないので、このへんでやめておきましょう。

 さて報道によると、先日開催された「CEATEC JAPAN」で東芝がデモ展示したテレビは、Cellというとても頭のいいプロセッサーを搭載しているおかげで「48番組同時再生」が可能だそうです。画面を48分割して、異なる映像を流せるのです。するとおお、春や秋の新番組チェックが30分でいっぺんにできてしまう!

 「今期はマンガ原作が35、ラノベ原作が5、ゲーム原作が5か」「妖怪退治が20作品、うち日本刀が5作、うちセーラー服2作」「どっかから女の子が落っこちてくるのは12本、幼なじみがいるのが8本、許嫁は6本」「オープニングに出てくる女の子の数はこの番組が最多で18人、美形男性の数はこの番組が1位で12人」「おっ、開始から20分であっちとこっちでツンツンがデレに変化」「ああっ、あの作品とこの作品で第1回なのに主人公が死んだ」――と、こんな感じですべてが30分でわかっちゃうわけです!

 というのは冗談です。目玉は二つ、脳みそは一つ。額にCellを埋め込んでいるわけじゃなし、48番組いっぺんに映してどうしようというのでしょう。クラクラして酔いが早く回るくらいのものです。じゃあ順繰りに48本見てどうなるというの?という疑問も脳内に湧きますが、それは無視無視。さあ今夜も張り切ってアニメを見ましょう!

 ちなみに、今まで見たところ面白かったのは「地獄少女 三鼎(みつがなえ)」と「かんなぎ」。「地獄少女」は光と影の使い方が美麗。後味が悪いオチをさらりとやってしまうところも心憎い。シリーズ3期目も安泰のよう。「かんなぎ」は女の子がおっこってくるパターンですが、女の子のアクションと男の子のリアクションの間(ま)がよいので見てる側のツボにハマります。

プロフィール

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小原 篤(おはら・あつし)

1967年、東京生まれ。91年、朝日新聞社入社。99〜03年、東京本社版夕刊で毎月1回、アニメ・マンガ・ゲームのページ「アニマゲDON」を担当。08年4月から編集局編集センター員。

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