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よろづ天道まかせで

古に倍する

BP社によるメキシコ湾原油採掘での流出事故はなかなか流出が止まらず、いまBP社の株も暴落するような事態に至っている。

このニュースを最初に聞いたときに、思い出したのが佐藤信淵が『経済要録』中で金銀の採掘につき述べていた条り。

「・・・何づれの山も年数を多く累ねて掘るときは、坑は次第に深くなるを以て、出入する路も遠く、泉水の湧出ることも多く、或は楮木等も腐りて崩るゝ所なども出来たり。種々坑戸(ほりだいく)等の働き不自由に為り、金銀の出ることも減少する者なり、仮今へ減少することなしと雖も、費の掛かること必ず古に倍にするに至る、・・・」
佐藤信淵、『経済要録』)

採掘が次第に困難になりコストも上昇すると。

またBP社が海底の原油掘削につき規制を軽んじていた事実は、

「・・新庄には、極てよき銀山有て、数多の銀を出せしが、坑場の法律善を尽さゞりしを以て、山崩れ水溢れて其業を為すこと能はず」

の条りを思い出させてくれた。

BP社は掘削に係る規範につき善を為さざるであったのであろう。

経済に対する資源制約が進むなか、信淵のいうように、

「聊かも経済の要務を怠るときは国土は暫時に荒廃する」

ということだな。

もちろん国土には環境も含まれる。