日証協、上場前の個人出資禁止案 VB育成に足かせも
日本証券業協会が6月中旬に公開した協会規則の改正案が波紋を呼んでいる。企業が上場を目指す場合、上場前に個人から出資を募るのを禁じる条項が含まれているためだ。日証協は個人のベンチャー投資を縛る考えはないとしているが、そのまま規則が成立すれば、創業資金を個人からの出資で賄ったベンチャーは上場しにくくなるとの懸念が広がっている。
改正案は未上場会社が上場前に個人から出資を募っていた場合、証券会社に当該企業の新規上場の引受業務を禁じるというもの。日証協によると、実体のない企業が個人に未公開株を買わせる詐欺を防ぐのが狙いで、健全なベンチャーについては例外規定で上場を認めるとしている。
だが、個人がベンチャー投資への意欲をそがれれば、健全なベンチャーの成長機会を損なう可能性もある。そもそも詐欺目的で出資を募った企業は上場を目指さないと見られ、「詐欺への対応を迫られた協会の過剰反応」との批判も出ている。
日証協は改正案について7月1日までパブリックコメントを募集して、7月中旬に新規則を施行する予定だが、反対意見が多数届いているという。