写真1●徳利得物流のウン・キン運営総監
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 中国の物流会社である徳利得物流は、大手外資系メーカーや小売事業者などを顧客に抱える。同社は、原材料や部品の調達から製品の配送まで、サプライチェーン管理全体を支援するのが主力事業だ。徳利得物流のウン・キン(ウンはりっしんべんに軍、キンは錦)運営総監(写真1)に、IT戦略などについて聞いた。

(聞き手は中井 奨=日経コンピュータ)

徳利得物流のビジネスの特徴は。

 我々は中国に現地法人を持つ多くの海外メーカーを顧客に抱えています。顧客とはそれぞれ密接な関係を築き、付加価値のあるSCM(サプライチェーン管理)サービスを提供しています。サービスには、倉庫、輸送だけでなく、ITを活用した物流管理ソリューションも含まれています。中国にはたくさんの物流会社がありますが、当社は物流100強の1社として知られています。

ITを活用した物流管理とは、具体的にどんなシステムを構築しているのですか。

写真2●徳利得物流の配送管理システム(TMS)
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 当社が活用している主要なシステムは、倉庫管理システム(WMS)、配送管理システム(TMS、写真2)、CRM(顧客関係管理)の三つです。このうち、倉庫管理システムでは、毎月10万件もの出荷を1件ずつ管理しています。出荷時の操作ミスがなくなるといった効果が出ています。配送管理システムは、GPSを使ってドライバーの位置情報を確認するシステムです。トラック(写真3)の手配を効率化したり、輸送の進捗状況を確認したりするのに役立っています。

写真3●徳利得物流の輸送用トラック
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 物流に対する要望は顧客によって異なります。我々は顧客ごとのニーズを分析して、それぞれの物流計画を策定しています。その中で、配送管理システムや倉庫管理システムを有効に活用することで、サービスレベルの向上につなげています。

 徳利得物流のシステムは社外からも高く評価されています。中国の物流購買情報連合会が毎年優れた物流システムの成功事例を選出しているのですが、2009年度に当社の事例が選ばれました。

物流関連のシステムは自社で開発しているのですか。

 倉庫管理などの一連のシステムは、システム開発会社の菱通が構築しました。当社は菱通とは2001年からITパートナーとして戦略的な提携関係を築いています。システム開発については、現在も菱通に全面的に任せています。菱通からSCMに関して戦略的なアドバイスを受けたり、情報化についてのアイデアをもらったりしています。

徳利得物流の情報化推進体制は。

 我々は北京と上海にそれぞれ情報センターを持っています。人員は、北京が3人、上海が1人です。アプリケーションサーバーはすべて北京に設置しています。データセンターは使用せず、サーバーはすべて社内で運用管理しています。